05

先にバスルームを借りる事にした。

ずっと海の上にいたので、潮風のせいで身体中がベタベタとし、髪はギシギシとする。

「さすが高級ホテル!石鹸もシャンプーも良い香り」

○○は上機嫌で風呂を満喫した。





着ていた服もベタベタと気持ちが悪かったので下着もろとも洗ってしまった。
バスローブしかなく、仕方なくそれを羽織ってバスルームを出る。

「出たか」

鷹の目はバサリと新聞を置く。

「……」

「何だ、その不満そうな顔は」

○○はじとっとした目で鷹の目を見る。

「そう言えば鷹の目が拐ったせいで、服とか何にもないです。せっかく働いて稼いだお金も無いです」

○○は怖いながらも不満をぶつける。

「……そうか」

鷹の目は言いながら立つとバスルームへと向かう。

「買ってやる」

それだけ言うとパタンと扉を閉めた。

「やった……!」

○○はクスクスと笑った。

鷹の目は怖いが、ただコミュニケーションを取る事が苦手なだけでは無いかと思う○○だった。

(怖い事は怖いけど)

○○はそう思いながら鷹の目が放った新聞を見た。

「読める……ような、読めない……ような」

○○は戸惑いながら新聞を読む。
文字は基本的に英語。しかし、何故か日本語も混じる。

「変なの……でも、これが唯一の情報源……か」

○○は呟きながら新聞を読む進める。

「もしかしたら、シャンクスの情報とかも手には入るかも!」

○○は少し気分を上げて新聞を眺める。

「海軍トップの……せ、センゴク?」

顔写真と一緒に記事を読むが、良く理解できない。

「習うより慣れろ、よね」

○○は夢中で新聞を読む。







「面白い記事でも載っていたか?」

いつの間にかバスルームから出て来て、さらに外に出ていた鷹の目が○○に声をかけた。

「え?あ、もう出たの?」

○○は驚いて顔をあげた。

「……一時間程経つ」

鷹の目は呆れた様に声を出す。
鷹の目の服装はいつもの外に出る時の格好だった。

「え?あれ?も、もしかしてお出掛けしてたの?」

○○は鷹の目を見上げる。

「これを買っていた」

「ぷふっ!!」

鷹の目はそう言いながら紙袋を○○の顔面に投げ付けた。

「な、何?」

○○は紙袋と鷹の目を交互に見た。

「開けるが良い」

鷹の目はソファに座りながら言う。

「服だ」

素直に開けると中から服が出てきた。

「とりあえず着ていろ」

「ありがとう!鷹の目!!」

○○は嬉しそうに笑うとバスルームに入って行った。





「鷹の目はこう言うのが好きなの?」

○○は不思議そうに声を出す。

上はラフなフード付きのシャツ。下はミニスカートだ。
この世界の女性は日本人よりも細くて胸やお尻が出ているナイスバディが多い。
なので、このくらいのミニスカートは普通の様だ。

ちなみに下着はすでに乾いていた。

「……違う」

「大方、マネキンが着てた服をそのまま買ってきたのね?」

「……」

○○の言葉に鷹の目は無言だ。

「クスクス、やっぱり!」

無言を肯定と取った○○は嬉しそうに笑った。

「……」

「ご、ごめんなさい」

無言の圧力に恐れをなして○○は謝った。

「では、飯に行くぞ」

鷹の目はくるりと踵を返すと入り口の扉を開けた。

「あっ!待ってください!!」

○○は普段履かない短さのスカート丈に緊張しながらも、急いで鷹の目の後を追った。

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