02
ーードゴーン
凄まじい音と共に地震のような地響き。
「な、なに?!」
バラティエで働き初めて一週間。
今まで色んな事が合ったが、建物自体を攻撃されるのは初めてだった。
どうやら、大砲を跳ね返した所で間違えてこの建物(しかもゼフの部屋)に直撃したようだ。
「へぇ、貴方がルフィくん!宜しくね」
○○はにこりと笑ってルフィに挨拶をした。
「おう!宜しく!」
ルフィはにかりと笑った。
どうやら、このルフィが大砲を跳ね返した張本人らしい。
「……ねぇ麦わら帽子を被るの流行ってるの?」
○○は笑顔と麦わら帽子がシャンクスに似てるなぁと思いながら聞く。
「わかんねェけど、これはシャンクスに借りてる大切な帽子なんだ」
「シャンクス?!貴方、赤髪のシャンクス知ってるの?!」
突然出てきたシャンクスの名前に思わず大声を出してしまった○○。
「コラ!○○!サボるな!」
厨房から低い声で怒られる。
「す、すみません!!」
「なぁ!お前もシャンクス知ってるのか?!」
ルフィはキラキラとした目を向けてきた。
「うん!私、シャンクスに会いたいの!どこにいるか知らない?」
○○は藁をも掴む感覚でルフィに聞く。
「知らねえ。たぶんグランドラインだろうけどな」
ルフィは笑いながら言う。
「そっか。そうだよね。でも、グランドライン入れないよね……」
○○は手を動かしながらため息をついた。
グランドラインは生半可な気持ちでは渡れない程の海域らしい。
「なら、俺の船に乗るか?」
「え?」
「俺の夢は海賊王!グランドラインに行ってワンピースを見つける!それで、シャンクスにこの帽子を返すのが目的だ!!」
ルフィはくるくると麦わら帽子を回した。
「ほ、本当?!なら、ルフィくんといればシャンクスにも会えるの?」
○○は希望の目をキラキラとさせた。
「ああ!もちろんだ!」
ルフィはにかりと笑った。
○○はルフィの笑顔にようやく希望を見出だせた。
それから船長のルフィ、剣士ゾロ、狙撃主ウソップ、航海士ナミ、ゾロの舎弟ヨサクとジョニーと色んな話をした。
なかなか面白い海賊団で、年はみな下だが、全く気にならなかった。
しかし、平和な時間は続かない。
これまでにも、海賊や暴れる客に容赦なく叩きのめして来たサンジやゼフ、そしてコック達。
彼らは戦うコックさんだったのだ。
首領・クリークと言う海賊が来たのだ。
「役立たずは隠れていろ」
と言われたので、奥へ下がった。
巨大ガレオン船はボロボロで、グランドラインから逃げ帰って来たのがよく分かった。
反対するコック達を余所に、サンジ、そしてゼフまでも凶悪な海賊に食べ物と水を寄越した。
「く、来る」
○○は不安そうに雄叫びの上がる方向を見ていた。
ーーズババン!!
「え?」
そんな音と共に巨大ガレオン船は半分に切れた。
「?!」
「何だ!!!」
「何が起きたア!!!」
レストランの中も外も騒然とした。
「ドン・クリークの本船は斬られました!!!!」
「え?!ふ、船を?!」
○○は我が目疑った。
やって来たのは小さな黒い船に乗った男だ。
「“鷹の目の男”とは大剣豪の名。奴は世界中の剣士の頂点に立つ男だ」
ゼフの言葉に○○は目と耳を疑った。
「た、鷹の目?!って、ジュラキュール・ミホーク?!」
○○はゼフの隣に並び、見上げる。
「そうだ」
ゼフは頷いた。
「え?シャンクスと友達……って、雰囲気でも無い……わね」
シャンクスの名に鷹の目がギロリと○○を睨む。
「こ、怖っ!!」
○○は鷹の目に怯え、ゼフの後ろに隠れる。
「畜生ォ!てめェ!!何の恨みがあって俺達を狙うんだ!!!」
「…………ヒマつぶし」
少し考えてから鷹の目は当たり前の様に声を出した。
「うわ……」
○○は眉間にシワを寄せた。
「……赤髪も似たようなもんだ」
ゼフは鷹の目を見たまま声を出した。
「そ、そうなの?」
○○は驚いてゼフを見上げた。
そんな会話をしてる間にゾロが鷹の目と戦う。
「っ!!ぞ、ゾロって強いのに……」
○○はルフィやウソップの話が嘘だとは思えなかったが、目の前では、一方的な戦いだ。
「グランドラインにはこんな奴等がうじゃうじゃいる」
ゼフは静かに言う。
「背中の傷は剣士の恥だ」
「見事」
そう言うと鷹の目はゾロを巨大剣で凪ぎ払った。
「っ!!ゾロ!!」
○○は海面ギリギリまで移動する。
ヨサクとジョニーがゾロを助ける。
「我が名はジュラキュール・ミホーク!!貴様が死ぬにはまだ早い。己を知り、世界を知り、強くなれロロノア!!おれは先幾年月でも、この最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を越えてみよ!!このおれを越えてみよロロノア!!」
鷹の目はそう倒れるゾロに声を出した。
「鷹の目のミホークにここまで言わせるとは……」
ゼフが関心したように事の成り行きを見守る。
「おれはもう!!二度と負けねェから!!あいつに勝って大剣豪になる日まで、絶対にもう、おれは負けねェ!!!」
ゾロは泣きながらも剣を掲げ、瀕死の状態でルフィに叫んだ。
「……凄い……」
○○はその状況をじっと見つめていた。
そして、首領・クリークが鷹の目に銃弾を浴びせるが、
「さらば」
たったの一太刀でまた船をぶった切った。
「へ?!」
○○は自分の状況を理解できずにいた。
何故か、○○は鷹の目に抱えられ、小さな船に乗っていた。
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