01

ーーザザー



波の音に○○はゆっくりと目を冷ませた。

「…………ここ……は?」

○○はキョロキョロと辺りを見回した。

どうやら誰かのベッドで眠っていたらしい。

煙草の香りがした。


ーーコンコン


「入るよー」

軽快なノックと共に若い男の声がした。

返事を待たずにガチャリとドアが開く。

「っ!あ、あの……」

「おおー!!レディ!!起きたんだね!調子はどう?」

金髪のスーツを来た若い男が入ってきた。

「えっと、大丈夫です」

○○は押され気味に頷いた。

「俺はサンジ。海上レストランバラティエの副料理長さ!レディ、宜しければお名前を」

「○○です」

芝居かかった物言いに○○はにこりと笑った。

「○○さん!ああ、何て良い響きだ!」

サンジは大袈裟に喜んだ。

「つきましては○○さん、俺と甘いっ!!」

ゴンッと鈍い音と共にサンジが沈む。

「お前はいつまでも仕事をほったらかして何をしてる!」

「うるせー!このクソジジィ!!」

大きなコック帽を被った男がそう言うとサンジの頭を拳骨で殴ったのだ。
そして、先程までと違い過ぎるサンジに○○は目を白黒させた。

「お前さんが津波に流されて来たって女だな?」

「っ!は、はい!」

コック帽の男が○○を睨む様に見た。

「あの津波は何百年だか何千年かに一度現れるでかさだ。お前さん、どこから流されて来た?」

コック帽の男はじっと○○を見る。

「○○さん、怖い顔してるけど、このクソジジィはここのオーナーで名前はゼフ」

サンジが素早く紹介する。

「あ、えっと、ここはどこでしょうか?」

○○は不安そうに聞く。
ゼフは自分の質問の答えが無い事に苛立つ。

「ここはイーストブルー海上レストランバラティエの俺の部屋」

サンジが答える。

「っ!!イーストブルー!って事はグランドラインとかあったりするんですか?」

○○は慌てて声を出す。

「え?そりゃもちろん」

サンジは頷いた。

「っ!!ほ、本当に?」

○○は本当に来てしまったと驚いた。

「どうしたんだい?さっきから」

さすがの友好的なサンジさえも不思議そうに○○を見た。

「あの、驚かないで聞いて欲しいのですが」

○○は息を吸い込む。

「私、異世界人なんです」

「……」

「……」

○○の言葉に男2人は押し黙る。

「あ、あのですね!」

○○はしどろもどろに話す。

シャンクスと言う赤髪の男が触れない津波に巻き込まれて○○の世界に来た事。

そして、自分もシャンクスと共に来たが、途中ではぐれてしまった事。


「うーん……」

サンジが聞き終わると唸る。

「なら○○さんはもう男持ちって事か」

と、サンジはがっくり項垂れた。

「あ、あの……」

そこじゃないと○○は困った顔をした。

「しかし、赤髪海賊団となると……」

ゼフは静かに唸る。

「知ってるんですか?!」

○○は驚いてゼフに詰め寄る。

「そりゃ、知ってるも何も……有名な海賊団だからね」

サンジも頷いた。

「まぁ、良い。丁度人手が足りなかったからな。ここで働きながら赤髪に会う手でも考えな」

ゼフはそう言うとさっさと部屋から出て行った。

「……ここに置いてもらえるって事かしら?」

○○は不思議そうに首を傾げた。

「宜しくね、○○さん!」

サンジはにこりと笑うと手を出した。

「うん!宜しくね、サンジくん」

○○はサンジの手を取って握手した。

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