08
「ははは、こうも上手く行くものかね?」
「これで、あの玩具にして来た会社も終わりですね」
「まあ、これだけの金があれば、海外でまた一儲けだな」
男達はそう口々に歓喜の美酒を飲み、個人飛行機をチャーターしていた。
「うわっ!なんだあいつ?!」
パイロットが叫ぶと狭い室内で男達は窓の外を見た。
「なんだ、あの赤い髪の男は?」
「今は警察の目も他人の目もない。一思いに殺ってしまえ」
一人の男がそう言うと、パイロットは焦りながらも発進させた。
「早くどいてくれ!」
人殺しはごめんだと願っていたパイロットは、赤髪の目を見て急に意識が飛んだ。
「お、おい!何をしてるだ?!」
怒りながらパイロットを見るが、パイロットは気絶していた。
「っ!!早く止めろ!!」
男達はパニックを起こしている。
「よう、お前達があの会社の幹部どもだな?」
いつの間にか飛行機に飛び乗り、ガラスを割り入ってきたのは赤髪の男。
「なんだ?!」
「貴様!!」
男の一人が拳銃を出し、脅す。
「そいつを出すなら覚悟を決めろよ!」
赤髪は勢いよく飛び込むと、拳銃の男を蹴り倒した。
「何だよ、手応えもねーな」
伸びた男を見下げる赤髪。
「っ!!くそ!!」
もう一人の男がナイフを持ち飛び掛かる。
「あー、それじゃあ、俺は殺れないぜ?」
赤髪はニヤリと笑うと一撃でナイフ男を静かにさせた。
「っ!!な、なにが目的だ?!か、金ならある!!」
社長と思われる男が命乞いを始める。
「そうか。なら、あの会社の社員全員を保証すると書け」
赤髪は紙とペンを差し出す。
「っ!!くっ!」
「死にてェなら良いぜ」
赤髪はニヤリと笑った。
社長はガタガタと震える手で書く。
「よしよし、後は……」
赤髪は社長の手を取ると親指を傷付け、血を出させる。
「痛っ!」
「よし、これで血判!」
赤髪は満足気に出来上がった書類を眺めた。
「動くな!」
社長は落ちていた拳銃を拾い、赤髪を標準を合わさる。
「っ!!」
赤髪は焦る事無く、拳銃をはたき落とす。
「お前、あの会社の事が無かったら殺すぜ?」
赤髪は冷たい目で床に這いつくばる社長を見る。
「お前は一体……」
恐怖の顔で赤髪を見上げた。
「海賊だ!」
赤髪はニヤリと笑った。
『ね!だから、会社は潰れるけど、保証はあるって!』
友人が電話の向こうで笑った。
「そ、そっか。とりあえず良かった……」
○○は言葉とは裏腹にシャンクスが帰らないのを心配して、そわそわと待っていた。
『じゃあ、新しい彼氏にも宜しくね!』
友人は『就活しなきゃ』と言いながら電話を切った。
「……シャンクス……」
○○はいてもたってもいりずに、玄関に走った。
ーーピンポーン
「っ!!はい!」
タイミング良く呼び出し音が鳴り、玄関を勢いよく開けた。
「○○……」
「っ!な、何の用?」
そこに居たのはシャンクスではなく、来るもの拒めずの彼氏が立っていた。
「いや、最近会えてなかったから、元気……かなって……」
彼氏は恐る恐る声を出す。
「元気よ。貴方が他所の女と会ってる時もね」
○○は嫌そうに声を出す。
「っ!お、僕は君だけが……」
「今更何を言ってるの?私の事、いつも放っといて」
○○は彼氏を睨み付ける。
「今まで色んな女の人達とその、付き合ったけど……いや、付き合ってはないんだけど」
もぞもぞと言葉を探しながら声を出す。
「だから、なんなの?」
○○はイライラと彼氏を睨み付ける。
「やっぱり君なしじゃ、僕は!!」
「何を勝手な事言ってるんだ?」
地を這うような低い声がそう言った。
「っ!!」
「シャンクス!!良かった!帰って来たのね!」
彼氏は驚き振り返り、○○は笑顔でシャンクスを見た。
「ただいま、○○。で?お前さんは人の留守中に何してんだ?」
シャンクスは彼氏を睨み付ける。
「っ!ぼ、僕は彼女と付き合ってるんだぞ!」
彼氏はシャンクスに負けじと○○を背にシャンクスを睨み付けた。
「ふん、それで他の女に目移りたぁ、良いご身分だなぁ?」
シャンクスは嫌そうに吐き捨てた。
「だ、そ、それは……」
彼氏はシャンクスの迫力に負ける。
「まぁ、こんな良い女手離してくれて礼を言う」
シャンクスは彼氏の横を通り越して、○○を抱き締める。
そして、深い口付けをする。
「っん……」
初めは驚く○○だが、シャンクスの荒々しい口付けにクラクラと酔わされる。
「なんだ、まだいたのか?それとも最後まで見ていくか?」
シャンクスは野獣の様な目を彼氏に見せる。
「っ!!」
彼氏は居たたまれなくなり、○○の部屋から飛び出した。
「ハッ!ずいぶんと腰抜けな野郎だな」
シャンクスは侮蔑の表情で玄関を見た。
「っと、大丈夫か?」
すっかり腰に力の入らない○○を抱いた。
「…………ダメかも」
○○はシャンクスを潤んだ瞳で見上げた。
「じゃあもっとダメにしてやるよ」
シャンクスはニヤリと笑うと、軽い口付けを贈り、○○の部屋のベッドを目指した。
[ 8/61 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]