01

出会いは新幹線の中。

初めは酔った勢いでと言うやつではあったが、押しの弱いやすを自分のモノにするのは割りと簡単であった。

いつの間にか本気になって、いつの間にかやす無しではいられなくなってしまった。

そこでシャンクスはやすの部屋に転がり込み、半同棲をしていた。





「ただいまー!」

「お帰りって、お前はまた何をいっぱい持ってるんだ?」

シャンクスはやすの手に下げられた袋を見た。

「見て見て!バッテラ寿司!美味しそうだよ!」

やすは嬉しそうに笑った。

「…………いや、旨そうだが」

シャンクスは眉間にシワを寄せた。

「販売の人が売れ残ってて困ってたから」

「押しきられたか」

「え?そ、そんな事ないよ!食べたかったの!バッテラ寿司!」

やすは「お茶いれるねぇ」と小さなキッチンに立つ。
その背中を見てからシャンクスはチラリと手提げ袋を覗き込む。

(また、チラシにティッシュに変な英語教材)

確認すると出て来る押し付けられたであろう道端で配ってくる物。


やすは人が良い。
と言うか押しに弱い。
断る事はちゃんとするのだが「どうしても」と言う言葉に弱いらしい。
ついついその場の雰囲気に流されて余計な物まで買ってしまう。

シャンクスは小さくため息をついた。


「シャンクス?どうかしたの?」

やすは折り畳み式のローテーブルにお茶と取り皿を用意した。

「……いや」

シャンクスはバッテラ寿司をひとつ手で掴み口に入れた。

「旨っ!」

驚いて声を出す。

「美味しい!お茶と合うね」

やすが嬉しそうに笑うのでまァ良いかと思ってしまうのだ。





部屋には小さなシャワー室しかなく、風呂に入るには近くにある24時間営業のスーパー銭湯に行くしかない。

やすは広い湯船に浸かれるので、それは苦にならなかった。
年間パスなるものもあり買った。
いや、「お得ですよ!」と押しきられて買わされた。






「明日も早いし寝ようか」

やすは目覚ましをセットしながら狭いベッドに腰かける。

「……」

シャンクスはそっとやすに近付く。

「へ?っ!」

シャンクスがやすを掴まえるとそのまま唇を合わせる。

「あ、あの!シャンクス!明日早」

「キスだけだろ」

言いながらシャンクスは自分の膝の上にやすを乗せ、後ろから片手で抱き締める。

「あ、あのさ!」

「大丈夫だって」

シャンクスは片手をやす胸に回し、鼻を肩に付ける。


「明日早いんだってば!」

このままではまた流されてしまうとやすは懸命に暴れるが、片手のシャンクスに勝てた試しは無かった。

「大丈夫大丈夫!一回だけだよ」

シャンクスは片手と口を使ってやすのパジャマを脱がせて行く。

「うー」

「唸るな、唸るな」

シャンクスは笑いながら狭いベッドにやすを押し倒した。






結局、シャンクスは夜中遅くまでやすを離す事は無かった。

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