03
「ほら、よ」
誰もいない空き教室に入り、キッドがマスミを下ろした。
「はぁ、怖かった」
マスミは地面に足を着けてホッとした。
「ピンクか」
ローがポツリと呟いた。
「へ?……っ!!?み、見た?」
マスミは顔を真っ赤にしてローを睨み上げた。
「止めろ、その顔。押し倒したくなる」
ローは当然の様に声を出した。
「っ!!?」
マスミは慌てて3人から距離をとる。
「で?どうしたの?何か用?」
まだ残る赤い顔でマスミは3人を見上げた。
(((可愛い)))
3人はマスミを見て同じ事を思っていた。
「ほら!今日はホワイトデーだろ?」
「あ!そっか」
エースの言葉にマスミはホッとした様に体の力を抜いた。
「ほら」
3人はタイミング良く包みを同時に出した。
「「「受け取って下さい」」」
3人同時に頭を下げた。
「ふふ、ありがとう!」
マスミは包みを3個手に取った。
シャンクスとマルコからのクッキーは近くの机に置いた。
「開けても良い?」
マスミはわくわくと3人を見上げた。
「もちろん!」
「開けてみろ」
「当たり前だ」
3人は頷いた。
「じゃあ、これから」
エースの包みを丁寧に開けた。
「わぁ!可愛い!」
中に入っていたのはチョッパーのストラップだ。
「何かな、限定品だとよ」
エースがにかりと笑った。
「そうなんだ!エースくん!ありがとう」
マスミは嬉しそうに笑った。
「おっと!後これな!口開けろ」
エースがにかりと飴玉を取り出した。
「お前、それもか」
キッドが呆れた様に言う。
「え?あの、手で」
「却下だ!」
マスミが手を出したが却下された。
「……じゃ、じゃあ」
仕方無く口を開けた。
「ほら」
エースは自分の指ごとマスミの口の中に飴玉を入れた。
「テメェ!」
ローがエースを殴る。
「痛ェなァ」
不服そうにしながらもエースは今しがたまで飴玉を掴んでいた指を舐めた。
「……前にもこんな事……」
マスミは顔を真っ赤にして頭を抱えた。
「気を取り直して!」
次にキッドに貰った包みを丁寧に開けた。
「へ?なにこれ?」
不思議そうに開くとそこには磁石を型どった何か。
「スマホのイヤホンジャック」
キッドは無表情に言う。
「へぇ!こんなのあるんだ!」
マスミは物珍しそうにそれを眺めた。
「何だよ、磁石って」
エースが笑った。
「そう?磁石可愛いよ!私理系だしこれ、嬉しい!ありがとう、キッドくん!」
マスミは嬉しそうにキッドに笑った。
「お、おう」
キッドは些か照れた様に頷いた。
「で、後はローくんか」
マスミはがさがさと包みを丁寧に開けた。
「あ!ベポ!」
それはベポの携帯画面保護シートだった。
「限定品だ」
ローは当然の様に言う。
「ありがとう!ローくん!」
マスミは嬉しそうに笑った。
そして、さっそく自分の携帯電話を取り出すとそれらを付けた。
「どうかな?」
マスミは嬉しそうに3人に見えるように出来上がった携帯を見せた。
「良いな」
「似合う」
「うん!」
キッド、ロー、エースが嬉しそうに頷いた。
「えへへありがとう!」
マスミが嬉しそうに笑った。
「本当は指輪だったんだ」
ローが静かに口を開けた。
「でも、あんまり高価な物だとお前受け取らないだろ?」
キッドがマスミを指差す。
「……うん」
マスミは考えてから頷いた。
「で!千円以内って約束したんだよ」
エースはにかりと笑った。
「そうだったんだ!それで携帯用品?」
マスミは自分の携帯電話を見下ろした。
「「「これはたまたま」」」
3人は声を揃えた。
ホワイトデーの奇跡「嘘?」
「いや、マジで」
「それでかぶらないとか奇跡じゃん!」
「……」
「仲良しだよね!3人とも!」
「……」
(((……まァ、可愛いから許す)))
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