05
「お邪魔しました」
まだ宴が収まらないリビングでくるとんは頭を下げた。
人がいつの間にか増えていて、ロジャーと言う人の人格を表している様だった。
「おォ!もう帰るのかい?」
ロジャーが赤い顔で聞く。
「はい!遅くなると親が心配しますので」
「そう、私達は明日帰るから」
ルージュがにこりと笑った。
「そうですか」
くるとんは少し残念そうに言う。
「船でなきゃ来れん所だが、是非遊びに来てくれ」
ロジャーはにかりと笑った。
「はい!遊びに行きます!」
くるとんは嬉しそうに笑った。
「ほら、行くぞ」
エースが席を立つ。
「え?良いの?」
「当たり前だ!ちゃんと送られなさい!」
ガープがガミガミと叫んだ。
「はい!それでは、お邪魔しました!」
くるとんは嬉しそうに笑うと家を後にした。
「良い子じゃないか」
レイリーがグラスを傾けた。
「羨ましいだろ?俺の息子と娘だぞ!」
ロジャーがにやりと笑った。
「どうですかね?あいつ、白髭を親父扱いしてますからね」
シャンクスがにやりと笑った。
「派手に残念っすね!」
バギーもニヤニヤと笑った。
「………………」
ロジャーは少しだけ泣きそうになった。
「さっき……」
「うん?」
「さっき、お袋と何話してたんだよ?」
エースとくるとんが夜道を歩く。
「うーん、知りたい?」
「…………別に」
「じゃあ、教えない!」
「っ、」
エースの黙り込んだ顔をクスクスとくるとんが見た。
「エース」
「ん?」
「私ね、エースのお父さんとお母さんに会えて良かった!」
くるとんは空をあおいだ。
都会の空にも少し星が輝く。
「エースに会えて良かった!!」
「くるとん…………」
くるとんの笑顔にエースはホッとしたように笑った。
どちらともなく、手を握る。
「エースの手は大きいね」
くるとんが繋がったエースの手を持ち上がる。
「くるとんのが小さいだけだろ」
エースは穏やかな目でくるとんを見る。
「私はエースを守ってあげられないかも知れない、でもね!ずっと一緒にいてね!」
くるとんはエースを見上げた。
「くるとん…………。あァ!一緒にいような!お前の事は俺が守ってやるからな!」
エースは握った手に力を入れた。
「うん!やっぱり、私もエースを守ってあげられるように頑張るね!」
「…………」
エースが腰を折り、そっと口付けた。
「守って貰ってるよ、十分な」
エースはそう微笑んだ。
「っ!!エースずるい」
いつもとは違う穏やかな笑みのエースにくるとんの顔には熱が集まる。
「お前な、その顔の方がずるいだろ」
エースは道から外れ、暗い壁にくるとんを押し付けた。
「っ、ん」
「はぁ……今日、帰れなくても良いのか?」
エースの熱の籠った目に見下ろされて頷きそうになる。
「だ、ダメ」
くるとんは首を左右に振る。
「悪ィ、それは聞けない」
「エーっ!!」
くるとんの抗議の言葉はエースによって飲み込まれた。
「うお!キッド!」
「おー、っ痛っ」
「大丈夫か?」
「当たり前だろ」
「……悪かったな」
「お前の親父、ヤベェな」
「名乗ったのか?!」
「あァ、エースを宜しくだとよ」
「…………」
「照れてんなよ、ファザコン」
「っ!!照れてねェよ!!」
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