03
「…………来たけど」
くるとんはエースの家の前でうろうろとしていた。
先程、大学であった衝撃の事実はどう見ても元カノなルージュさんはエースの母親。
どう見てもマルコより年上なロジャーさんがルージュさんの旦那さんでエースの父親。
即ち、考古学者の犯罪者。
「……正直考古学者には見えなかったなぁ。強かったし……」
くるとんが呟いた声は風に飛ばされた。
あの後、エースは2人に連れていかれた。
そして、くるとんも夕飯に誘われたのだ。
エースは携帯メールで何度も「早く来い」「まだか?」「頼むよ」と言ってきている。
しかし、本当に自分が行っても良いのだろうか?と思ってしまい、なかなかチャイムが押せないでいた。
「お!くるとんちゃんじゃないか?」
その声に振り返ると赤い髪のシャンクスが立っていた。
「こ、こんばんは」
くるとんは慌てて頭を下げた。
「こんばんは」
シャンクスの妻であり、エースの元想い人もいた。
「あ!呼ばれたんだな!ほら、入ろうぜ!」
シャンクスはうきうきとチャイムを鳴らした。
「あ、あの!やっぱり私帰ります!」
くるとんがくるりと踵を返す。
「そんな事言わないで!エース君も待ってるよ」
にこりとシャンクスの妻が笑う。
「いや、でも」
「それに、捕まえておかないと後でエースと船長に何を言われるか」
シャンクスとその妻に両脇を抱えられた。
「お!シャンクス!!あ?くるとん!何してんだ?」
不思議そうに玄関を開けたルフィがくるとんを見た。
「くるとんちゃんが逃げようとするからな」
「そうか!エースがさっきからまだ来ねェって言ってたぞ!」
ルフィがにししと笑うとくるとんを掴んで引きずり込んだ。
「わ!る、ルフィくん!」
くるとんはおろおろしたがらも靴を脱ぎ、部屋へと入った。
「遅ェ」
エースが不機嫌そうに呟いた。
「くるとんさん!いらっしゃい」
ルージュがにこりと声をかけた。
「こ、こんばんは。お邪魔します」
くるとんはおどおどと頭を下げた。
「遠慮せずにこっちに来なさい!」
ロジャーに手を引かれ、エースの隣に座らせられた。
「何言っとる!ここはわしの家だ!くるとんさんはお前何かよりここに来とるぞ!」
ガープがフンッと鼻を鳴らす。
「はっはっはっ!そうなのか!シャンクスも良く来たな!」
ロジャーは次にシャンクス夫婦に目を向けた。
「お久し振りです!ロジャーキャプテン、こっちが妻です」
シャンクスが隣にいる妻を紹介する。
「初めまして」
「あァ!話は聞いてるよ」
ロジャーが手を差し出し、握手を交わした。
「では、私は料理を手伝います」
「あ!わ、私も!」
シャンクスの妻に続こうとするくるとん。
「くるとんさんは良いのよ!」
くすりとその場にいる皆に止められた。
(何故?)
くるとんは仕方なく再び腰を下ろした。
ピンポーンとやって来たのは、白髪長髪の雰囲気のあるロジャーと同じ年程の男と、あのサーカスの様なラーメン屋の店主だった。
「おォ!ロジャー久しぶりだな」
「レイリーか!年老いたな!」
「それは互いにだ」
笑いあう2人は懐かしそうに目を細めた。
「ロジャーキャプテン派手にお久し振りです!」
ラーメン屋店主のバギーは深く頭を下げた。
「バギーか!懐かしいな!赤っ鼻は健在だな!」
ロジャーは嬉しそうににかりと笑うとバギーの頭をぽんぽんと叩いた。
「派手に変わらないっすね!!」
バギーは怒った顔で怒鳴った。
「…………」
知らない人間もいて、くるとんは自分の場違いさに居心地が悪かった。
「どうした?」
浮かない顔のくるとんに気付いたエースが聞いてきた。
「う?ううん。何でもない」
くるとんは慌てて首を振る。
「……何でもないって顔してねェだろ」
エースがグラスを傾けながら言う。
「…………ごめんね。赤の他人がこんな所にいて」
くるとんはエースの顔を見れずに落ち込んだ。
「……赤の他人じゃねェだろ」
「え?」
「俺と結婚したら、ここにいる全員が家族だろ」
ポツリと呟いたエースの顔はほのかに赤くなっていた。
白髭関係を家族と言った時とは違い、少し照れている様だ。
「……そっか、そうだね」
くるとんはエースの言葉ににこりと笑った。
(そうだ!エースのお父さんとお母さんなら私にとっても同じなんだ!大切な人なんだ!)
「ど、どうぞ!」
くるとんは瓶ビールをロジャーにすすめる。
「お!ありがとう!」
ロジャーはにかりと笑った。
くるとんはそこから頑張ってお酌やお手伝いをし始めた。
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