06

「……で、私はシャンクスと結婚して一緒に暮らしてるの」

●●は今まで起きた事を事細かに説明をした。

「…………」

○○は冷めきった紅茶をゆっくりと飲んだ。

「で、でもね!今は幸せだよ?シャンクスも居てくれるし!」

●●は無言の○○に戸惑いながら、照れながらもしっかりとした声を出した。

「…………取り合えず、今は幸せなんだね」

○○は頭を抱えたくなるくらいの話の大きさ、辛さに負けない●●にそう聞いた。

「うん、あの、連絡しないでほんとに」

「ちょっと、良い?」

「え?うん」

●●の声を遮り低い声で○○が口を開く。

「まず、“シャンクスさん”」

「お?」

「今は貴方の部下ではなく、妻の親友として言うのですが」

「あァ。構わないよ」

○○の言葉にシャンクスは頷いた。

「●●の事を不幸にしたら皮、剥ぐから」

冷たい声を出した。

「だっはっはっ!肝に命じておくよ」

シャンクスは楽しそうに笑った。

「それから●●」

「は、はい!」

「何故敬語?」

○○はくすりと笑った。

「私さ、貴女に見捨てられたと思ってた」

「そ、そんな事!」

「でも、恨んでなかった」

「……○○」

「信じてたよ。お帰り」

○○は静かに笑った。

「っ!!○○ー!!!」

「泣き付くな!それに、頼ってくれたら良かったのに!そんなに私って信用ない?」

○○の言葉に●●は頭を激しく振った。

「連絡の取り方も解らなかったし、その、前の事が一段落付くまで親しい人とも関わるのはその人を危険に曝すって言われたし!」

えっぐ、えっぐと泣きながら言う。

「そっか、ごめん。●●は本当に苦労したんだね」

「えーん!!○○!!」

「解ったから!」

抱き付いて来た●●を優しく慰めた。

「良かったな、●●」

シャンクスが穏やかに笑った。

「うう、はい!」

●●は嬉しそうにへらりと笑った。

「…………しかし、良いなぁ」

○○がニヤリと笑う。

「何が?」

「何がって、シャンクスさんみたいな良い人と結婚出来て」

くすりと○○が言うと●●の顔が赤く染まる。

「いや、その、…………うん」

●●は素直に頷いた。

「あーあ、私も結婚したいなー」

「うん」

「のろけか?」

「そ、そんなんじゃ」

「顔赤いよ」

「っ!!意地悪だ!」

●●の真っ赤な顔に○○が笑った。

「さて、私はそろそろ帰るわ」

○○は時計を見る。

「え、せっかく会えたのに!話したい事もまだまだあるのに!」

●●は不服そうだ。

「いや、夫婦水入らずに邪魔したら悪いじゃない」

○○がクスクスと笑う。

「そんな事ないよ!ね?」

●●がシャンクスを見上げた。

「そうだな。せっかくだから夕飯でもどうだ?」

シャンクスがそう提案する。

「それ良い!」

●●は嬉しそうに頷いた。

「いや、社長と一緒に食事とか、何か失態して会社クビなっても困る。借金残ってるし……」

○○は難しい顔をしてブツブツと困った様に声を出す。

「俺がいて嫌ならベックでも呼ぶか?男一人より良いだろ?」

シャンクスが名案!とばかりに言う。

「あ!それ良い!」

●●も嬉しそうに頷いた。

「何この悪乗り夫婦…………。いや、副社長呼ばれても……」

以前失態を晒しているだけに、気まずいと○○は困惑する。

「あ!ベックか?今夜暇か?」

シャンクスが携帯電話を取り出して既に電話をかけていた。

「行動早すぎ!!!」

○○はシャンクスの行動の早さに驚いた。

「おー、じゃあな。大丈夫だってよ」

シャンクスがにかりと笑いながら携帯電話をしまった。

「良かった!」

「良くない!」

「今夜は楽しみだね」

●●が嬉しそうに笑った。

「そうだな!」

シャンクスも嬉しそうに笑った。

「……私の都合は聞いてくれないのね……」

○○はやれやれと呟いた。








「○○は何食べたい?」

「そうね、えのきの梅あえかな」

「渋いな」

「じゃあ、えのき買わなきゃ!」

「酒もな!」

「楽しみだね!」

「そうだな!」

(この2人、似た者夫婦かも……)

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