05
飲み会で失態を犯してから1週間が過ぎた。
特に誰からも何も言われなかったので安心して仕事をした。
休みの日。
久し振りに大きな本屋へ行って色んな本を見た。
(副社長の部屋って色んな本あったなぁ)
そんな事を考えながら本を眺めた。
「なぁなぁ、●●。これなんてどうだ」
どこかで聞いた事のある男の声が聞いた事のある名前を呼ぶ。
「あ、良いですね」
クスクスと笑いながら嬉しそうに頷く聞き覚えのある女の声。
「●●?」
思わず○○は走り出した。
休日の本屋は人も多くお目当ての人が見付からない。
「はぁ、はぁ、どこ?」
息を切らせながら走る○○は本屋を飛び出した。
「はぁ、はぁ、あ!」
見覚えのある懐かしい横顔に後ろ姿。
「待って!!」
○○は走った。
「待ってってば!!」
「キャッ?!」
○○はその手を掴んだ。
「●●!!分かる?」
○○は●●の手を掴んだまま笑った。
「え?○○!?」
●●が驚いて目を見開いた。
「痛っ!!」
「離せ」
●●の手を掴んでいた手を男が捻り上げる。
「や、止めて!シャンクス!!」
●●は慌ててシャンクスを止めた。
「だって、こいつがお前の手を」
「違う!友達なの!親友なの!!」
●●は懸命にシャンクスの手を離させる。
「いったぁー…………」
○○は離された痣の付いた手を擦った。
「ごめんね、○○!大丈夫?」
●●が心配そうに○○を覗き込む。
「●●!!」
○○は●●に抱き付いた。
「○○……」
●●も○○を抱き返した。
「どこ行ってたの!何も言わないで!わ、私!どんだけ……」
○○が泣きそうになるのを懸命に堪えて声を出す。
「ごめんね、私も会いたかったよ!」
●●はポロポロと泣きながら声を出した。
「えーっと、取り合えず、どう言う事?」
落ち着きを取り戻した○○は●●とシャンクスを見た。
「あの、話せば長くなるんだけど」
●●は困った様に笑った。
「長くても良いけど」
○○はちらりとシャンクスを見上げた。
「悪かったよ。まさか●●の友達だったとは」
シャンクスがばつの悪そうな顔をして頭をかいた。
「いえ、社長と●●は何故一緒にいるのですか?」
○○は2人を交互に見た。
「「社長?」」
「ハモるな」
2人の声に思わず突っ込む。
「そっか、俺の会社の子か!俺達は夫婦だ」
だっはっはっ!とシャンクスが笑った。
「●●は社長と結婚したんだ」
○○は驚いて声を出した。
「あれ?でも確か●●の旦那だって言ったでかくて派手なサングラスの男が……」
○○の言葉に●●の体が震えていくのを見た。
「え?ど、どうしたの?」
○○は心配そうに●●を見る。
「大丈夫か?」
シャンクスが気遣わし気に●●を見る。
「だ、大丈夫です」
●●はシャンクスに頷く。
「無理はするな」
「はい。○○あのね」
「な、何?」
「私の話、聞いてくれる?」
●●の青い真剣な顔に○○は頷くしか無かった。
「取り合えず、どこか座れる所が良いな」
「そうだね。えっと」
「あ、じゃあそっちに個室の昼からやってるお店があるよ」
「そいつは良いな!」
(……社長も行くのか)
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