17
○○が幹部候補になってから、怒濤の1週間が過ぎた。
自分は物覚えが早く、仕事も出来ると自惚れていたが、幹部以上はそれ以上に出来た。
ヤソップは飴と鞭が上手く、所謂スパルタ派だった。
あれだけ仕事をサボってそうに見えて、やはり社長だけありシャンクスの仕事量は凄まじかった。
ヤソップ、ルゥ達がサポートをし、出来る限り上手くは回しているが、やはり社長であるシャンクスと副社長であるベックマンの仕事は多かった。
「っ、疲れた……」
仕事が終わり、明日は休み。
家に帰りつく前に夕飯を済ませようと考えながらエレベーターを待った。
ーーチーン
誰もいないエレベーターに乗り込む。
1階のボタンを押す。
そのまま閉じるボタンを押そうとしてるいと、人の気配に開けるボタンを押した。
「悪いな」
「いえ」
入ってきたベックマンに○○は笑顔で答えた。
「どうだ?仕事は」
ベックマンが○○に聞く。
「ええ、覚える事が多くて大変です。ヤソップさんにはご迷惑をかけっぱなしで」
○○は申し訳なさそうに笑った。
「ヤソップは『見込みがある』と言ってたぞ」
ベックマンはくすりと笑った。
「そう言って頂けると嬉しいです」
○○はにこりと笑った。
ーーチーン
エレベーターが開き、他の社員が乗ってくる。
○○はベックマン共々エレベーターの奥へと身を寄せた。
「副社長!お疲れ様です!」
「あァ」
入ってくる社員達の挨拶に手を上げて答える。
ベックマンの下ろした手が○○の手に触れる。
「っ……」
それに○○は意識する。
ベックマンが小さく笑ったのがわかって顔が熱くなった。
「っ!」
触れた手をベックマンに握られた。
声が出そうになり慌てた。
ちらりとベックマンを見上げると何も気にしていない顔だが、口許が笑っていた。
それから何回かエレベーターは止まるが、皆入り口に向かって乗るので誰も2人に気付かなかった。
そして、一階に着き社員達は降りていく。
○○も名残惜しそうにベックマンの手を離すとエレベーターから出る。
「っ?!」
だが、手首を掴まれエレベーターに再び連れ込まれた。
そのままドアは閉まる。
「あ、の?」
○○が不思議そうにベックマンを見上げるとそのまま唇同士が触れ合った。
「この後暇か?」
ベックマンの言葉に○○は静かに頷いた。
ーーチーン
重役だけに許された地下駐車場に着き、ベックマンの車に乗った。
とある高級ホテルに着くと、慣れた様子で部屋の鍵を受け取るベックマン。
部屋はスイートまでとは行かないが、広い高級感ただよう部屋だった。
「……」
○○が黙って立っているとベックマンが上着を脱いだ。
「かけます」
○○が手を出す。
「悪いな」
「いえ」
柔らかい笑みでベックマンが言った。
「何が食べたい?」
ベックマンがメニュー表を渡して来るが、メニューだけではどんな料理か想像出来なかった。
「……解らないので、副社長にお任せして良いですか?」
○○は申し訳なさそうにする。
「そうか。なら頼んでおく。先に風呂を使うと良い」
ベックマンはメニュー表を受け取ると電話に向かった。
風呂に入り、豪華な食事を目の前に○○はバスローブ姿のまま席についた。
「飲むか?」
ベックマンのかかげたワインが美味しそうに見えた。
「じゃあ、少し」
○○は化粧を落とした顔でおずおずとグラスを出した。
「美味しい……」
○○はそれを一口口に含み、うっとりと声を出した。
「それは良かった」
ベックマンは満足そうに頷いた。
「風呂に入ってくる」
「…………(こくり)」
「寝たかったら寝ていろ」
「…………(ぶんぶん)」
「そうか」
「スヤスヤ」
「…………やはりな」
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