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それから毎日の様に○○はシャンクスに連れられ、幹部達と一緒に昼食をとった。
色々噂は流れたが、気にする事は無かった。
「○○!」
そして、土曜日の昼過ぎ。
●●は嬉しそうに○○を呼んだ。
「…………●●」
○○はため息混じりにその車を見た。
どう見ても高級車だった。
「●●ってやっぱり大会社の社長婦人なんだね」
○○は嫌みではなくそう言った。
「え?これ?ベックマンさんの車だって!さぁ、行こう!」
●●は○○を引っ張って車の後部座席に乗った。
「いらっしゃい。じゃあ、どこ行くんだ?」
シャンクスが助手席から首を伸ばした。
「はい。ここへ」
○○は●●に見せない様に地図と住所を渡す。
「解ります?」
○○はシャンクスからベックマンに渡った地図を見ながら聞いた。
「任せておけ」
そう言うと車を発車させた。
和やかに会話を楽しみ、車は海の近くを走る。
「…………ここ……」
●●は窓の外を見て呟いた。
「あ、すみません。そこの花屋に寄って貰えますか?」
○○が道端の小さな花屋を指差す。
「了解」
ベックマンは通行の邪魔にならない所へ停車させる。
「すぐに済みます」
○○は1人車を降りる。
「なんだ!○○ちゃんか!凄い車だね!どこのヤクザかと思ったよ!」
花屋の店主がケラケラと笑った。
「あはは!やっぱり?」
○○は苦笑する。
「いつもので良いかい?」
「お願いします」
○○が言うと花屋の店主が手早く花束を用意した。
「すみません。お待たせしました」
○○は花束を抱えて車に乗る。
「お?誰かに会うのか?」
シャンクスが花束を見る。
「えぇ。……大切な人達に」
○○は悲しそうに笑った。
海の見渡せる丘の上に○○達は来ていた。
「…………○○」
「こっちよ」
その場所に戸惑う●●の手を○○が引っ張った。
その後ろを2人の男が静かに追いかける。
「…………これ」
「そう、お墓」
○○は周りより少し小さなお墓を見る。
「こ、これ!もしかして!」
●●は○○を振り返る。
「急に死んじゃったから、先祖代々の墓なんて知らないし。まだ新米のぺーぺーだったから、これ以上立派なお墓は建てられなかったわ。と、言うか正直まだ借金はあるの」
○○は笑いながら墓を綺麗にして花を供える。
「あの時、必死に守ったから何とか位牌とかは私のもとに残ったからね」
○○がしゃがんで手を合わせる。
「っと、危なっ!!!」
○○のその背中に●●が抱き付いた。
「あ、ありが、」
ぽろぽろと泣きなから礼を言う●●。
「わ、私。こわ、怖くて、いま、まで、お父さんと、お母さんの、こと、か、かんがえ、ないようにって」
下唇を噛みながら止めどなく流れる涙を我慢する様に●●は声を出す。
「本当は、もう、お骨も無いって思ってた!会えないって!思ってた!」
●●はぐずぐずと泣いた。
「うん。感謝しなさいよ」
○○は背中の暖かさを感じた。
「うん!うん!うん!」
●●は何度も頷いた。
「ちょっと、シャンクスさん」
○○がシャンクスを呼ぶ。
「これは私の役目じゃない」
○○はにこりと笑って●●をシャンクスに渡す。
「良かったな、●●」
シャンクスは優しく●●を包み込む。
「うん!」
●●はシャンクスに抱き付いて頷いた。
「借金はこの墓のか?」
シャンクスが○○に聞く。
「え?えぇ」
「なら、それは俺に払わせてくれるか?」
「……でも」
「頼む。●●の両親は俺の両親でもある」
シャンクスは頭を下げた。
「…………分かりました。●●と、おじさんとおばさんの事、宜しくお願いいたします」
○○は深く頭を下げた。
「ありがとう」
シャンクスは柔らかく礼を言う。
「ほら!●●!おじさんとおばさんにご報告は?結婚したんでしょ?」
○○はほらほらと●●とシャンクスを墓の前に押しやった。
「うん!」
「そうだ。後、これ」
「っ!これ!」
○○の差し出した鍵を驚いて見た。
「うん。●●の実家の鍵!ちゃんと掃除してるからいつでも中に入れるよ」
○○はクスクスと笑った。
「あ、ありが、とう!!」
●●は再びぽろぽろと泣き出した。
○○は2人の姿を見て、くるりと踵を返した。
「どこへ行く?」
ベックマンが○○を呼び止める。
「もう、私の役目は終わりました」
○○は振り返らずに声を出す。
「これまでは、お墓の借金と●●の家を守るために生きて来ました。だから、もう私は生きる意味がない」
○○は小さく言う。
「そう言うな。お前が生きる意味なんていくらでもある」
ベックマンが言う。
「……そうですね」
○○は足を進める。
「どこへ行く」
ベックマンが同じ事を聞く。
「いつもここからの帰り道は1人でしたから。2人を宜しくお願いします」
○○はそう言うと出口へと早足で去っていった。
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