09

「いらっしゃい!待ってたわ!」

●●が嬉しそうに出迎えた。


ベックマンに連れて来られたのは、これまたベックマンのマンションに引けを取らない高級マンションであった。

「…………大出世だね」

○○は苦笑いしながら●●を見た。

「ふふ、最初は凄かったんだよ。さぁ、どうぞ」

●●はクスクスと笑いながら○○を招き入れた。


リビングに通されると、大きなダイニングテーブルには既に料理が並べてあった。

「相変わらず料理が上手くて良いね」

○○は豪華な料理の数々に笑った。

「ありがとう!たくさん食べてね!」

●●は嬉しそうに笑った。







「しかし、○○さんはよく●●の元旦那を良く知ってたな」

シャンクスが台所へ席を立った●●を指差した。

「あぁ、それは。●●のお父さんのお通夜の時『●●の夫になったから喪主は俺か?』とか抜かすのでお焼香の灰をぶっかけてやりました」









「○○、●●の旦那って人が来たよ」

受付の人がそっと教えてくれた。

大好きなおじさんを亡くして、お金を必死にかき集めて、○○が喪主として何とか通夜を出したのだ。

「行く」

当時、大学を出たての新社会人の○○は頷いた。

「フフフ、あんたが○○か?」

ドフラミンゴと名乗った男が場違いなサングラスと派手な服のまま口を開いた。

「そうよ」

○○はぎろりとドフラミンゴを見た。

「フフフ、●●とはまた違った美人だな」

ドフラミンゴの手は○○の顎を掴み、無理やり上に向かせた。

「触らないで」

冷徹に○○はその手を弾いた。
ドフラミンゴはあっさりとその手を下げた。

「●●はどこ?あの子が喪主のはずなの。返してくれる?」

○○は強い口調で手を出す。

「そいつは無理な相談だ。もうあいつは俺の物で、お前は必要ないそうだ」

ドフラミンゴの言葉に○○はイラッとした。

「あの子に必要なのはあなたじゃない!」

○○は叫ぶ様に言う。

「フフフ。女、身の程をわきまえろ」

ニヤリと笑ったドフラミンゴの顔に○○は恐怖を覚えた。

「まァ良い。●●の夫になったから喪主は俺になるのか?」

ドフラミンゴが言う言葉にとうとう○○は頭に来た。

「このっ!!」

○○はお焼香の灰をドフラミンゴに投げ付けた。

「ふざけた事ばかり言わないで!あんたはおじさんに対して何もしなかったじゃない!だから、死んだのよ!そんな奴が今更ここに来て」

「○○!!」

騒ぎを聞いて駆けつけたサッチがとっさに○○を背に庇った。

「お前は…………白ひげの所の4番隊か?」

ドフラミンゴは驚いてサッチを見た。

「こいつは大事な人を2人も亡くして、親友も奪われて混乱してる。この場は俺に免じて引いてくれ」

サッチは静かにドフラミンゴを見た。

「フッフッフッ!!!こいつは楽しい!なるほど、なるほど、な」

ドフラミンゴはニヤニヤと笑いながらくるりと踵を返した。

「安心しろ。●●以外興味はねェ」









○○はビール片手に事も無げに言う。

「…………」

「…………」

シャンクスとベックマンが固まる。

「え?あのドフラミンゴ相手に灰を投げた?」

シャンクスが目を見開いて口を開く。

「え?えぇ、確かそんな名前」

○○は頷いた。

「……よく、生きてたな」

ベックマンの煙草の灰がぽろりと落ちた。

「えぇ、その頃働いてた会社の人達が色々助けてくれて」

○○は先程会った白ひげ面々を思い出してチクリと胸が傷んだ。

「……あァ、なるほどな」

ベックマンが納得した様に煙草を吹かした。

「え?何だよ、どう言う事だ?」

シャンクスが不思議そうに頭を傾げた。

「あんたは少しは自分の会社の人間の素性も知っておけ」

ベックマンは呆れた様にシャンクスを見た。

「盛り上がってるね」

●●がお酒を持ってやって来た。

「あ!ねェ●●暇な日ある?」

○○は席に座る●●を見る。

「え?基本的に暇だよ」

「じゃあ、今度の休みの日出掛けない?連れて行きたい所があるの」

○○がにこりと笑った。

「連れて行きたい所?」

「そう」

「どこ?」

「それは秘密」

○○はにこりと妖艶に笑った。

「えー!じゃあ、行く!」

●●はクスクスと笑った。

「次の休みっていつだ?」

シャンクスがカレンダーを見た。

「え?えーっと、次の土日です」

○○も壁にかかるカレンダーを見た。
可愛らしい模様には予定が色々とあった。

「日曜日は用事があるが、土曜日なら大丈夫だ。よし!なら、車出してやる!」

シャンクスがニヤリと笑った。

「え?まさか社長も来るんですか?」

○○は少し迷惑そうに顔を歪める。

「当たり前だろ!」

シャンクスが鼻息荒く言う。

「うーん」

「良いじゃない○○!」

●●は嬉しそうに笑った。

「あんた、本当に社長が好きなのね」

「え!」

○○の言葉に●●は顔を赤くする。

「まぁ、社長にも関係ある事ですし、車出してくれるなら良いですよ」

○○は仕方ないと笑った。

「よし!決まりだ!ベックマン、お前もだぞ」

シャンクスは1人会話に入らない男の肩をぽんと叩いた。

「へ?」

「……仕方ないな」

「っ!」

ベックマンの言葉に○○は自分の胸が嬉しそうに高鳴るのを無視した。

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