浮気防止策


「……だるい」

マンションへ帰ってきてから1ヶ月。
妊娠4ヶ月になり、○○は悪阻の真っ只中にいた。

1日の流れはシャンクスと共に朝起き、彼を見送るとそのままベッドへ。
お昼にパンなどを軽く入れ、そのままベッドへ。
夕方過ぎに何とか起き上がり、夕飯の支度を気持ちの悪いながらして、シャンクスが帰るまでソファーで目を閉じる。

シャンクスが帰宅すると一緒に夕飯を取り、風呂に入り、そのままベッドへ。

1日の殆どを寝て過ごしていた。



「妊婦ってなんでこんなに眠いのかしら。気持ち悪くて動けないし」

それでも○○はまだ食事を食べられる方なのでましのようだ。
中には水すら飲めずに点滴を打ったり、入院する妊娠もいるようだ。

「それよりはましかな」

○○は夕飯を作り終わり、風呂に入った。
今日は調子が良いようで、ソファーでシャンクスが買ってきた「た○ごクラブ」を読んでいた。

「ふーん」

ペラペラと雑誌を読みながら時間を過ごす。

「ん?」

その中で目を引いたのは特集の「妊婦の三大欲求の変化!!」であった。

「なになに、『睡眠欲は9割り方増える』当たってる」

○○はうんうんと頷いた。

「『食欲は食べ悪阻と食欲減退が半々』なるほど。『マ○クのポテトは最強』なにこれ」

○○はクスクスと笑った。

「『性欲の殆どは減退』…………やっぱりそうなのかなぁ」

妊娠前まではシャンクスの色気にやられっぱなしであった○○。
しかし、妊娠してからは不思議なくらいシャンクスを見てもそう言う気分にならないのだ。

時おりシャンクスが熱のこもった目で○○を見るが、もちろん何もして来ない。
○○も何とも思わないのだ。

「やっぱりそうなんだ。…………え?」

その中の一文に○○は釘付けになる。

「『夫の浮気が多いのもこの時期』………………いやいや、まさか!」

○○は少し嫌な予感を感じずにはいられなかった。

付き合い始めてから、結婚し、一度別れるまで、彼は女を欠かさなかった。と思っていたのだ。
結局は全てが○○の勘違いではあったが、彼の回りにはいつも魅力的な女性が絶えなかったのも事実た。

彼は自分が「強引で我慢など出来ない」と言う理由から自分から手を出さなかったのだ。

なら、今は?

妊娠であり悪阻の真っ只中の妻を気遣いしていない。

「…………いやいや、でも、最近帰り早いし。定時からまっすぐ帰ってくる時間だし」

○○はうんうんと頷いた。

「…………うん!今の私はシャンクスを信じる事が大切!」

○○は気合いを入れて頷いた。


ーーガチャ


「ただいまー」

「あ、帰ってきた!」

シャンクスの帰宅に○○は玄関まで急ぐ。

「お帰り!シャンクス!」

○○はにこりとシャンクスを出迎えた。

「おゥ!ただいま!」

シャンクスはにかりと笑いながら靴を脱いだ。

「ほら!お土産!」

シャンクスは嬉しそうに紙袋を○○に渡した。

「ん?…………『名前辞書』。あのさ、シャンクス。まだ性別も解ってないよ?」

○○は中から出てきた分厚い本を見て呆れ気味に言う。

「あァ、だから男女兼用な」

シャンクスはにかりと笑った。

「……そっか」

呆れながらも子供を待ち遠しくしてくれる夫に○○の心は嬉しくなる。

「ん?でも、定時に上がってるよね?この時間なら本屋に寄ってる時間もないよね?」

○○は壁にかけられた時計を見上げた。

「あァ、もちろん外回りを利用して」

シャンクスは当たり前の様に頷いた。

「……しゃ、社長!大丈夫なんですか?!」

○○は思わずベックマンが不憫になった。

「大丈夫、大丈夫!」

シャンクスはネクタイを緩めるとソファーに腰を下ろした。

「疲れてる?」

○○は気遣わし気にシャンクスの隣に座る。

「あァ、腹は減ったな」

シャンクスは隣の○○を横目で見た。

「そっか。支度するーー」

○○は言いかけて先程の記事を思い出す。

「どうした?」

シャンクスは不思議そうに○○を見る。

「シャンクス、ちょっと良い?」

「あ?」

驚くシャンクスを無視して向かい合わせる様にシャンクスの膝の上に乗る。

「え?ま、○○?」

「まぁまぁ、気にしないで」

焦るシャンクスに○○はのほほんと言う。

○○はシャンクスの付けていたネクタイを取り、シャツのボタンを上から外していく。

「お、おいおい、待て待て」

シャンクスが慌てて○○の手を止める。

「ん?大丈夫よ、しないから」

○○はしれっと言う。

(それが問題なんだよ!)

シャンクスは胸中で叫ぶ。

○○はシャンクスの手を振りほどき、シャツをはだけさせる。
露になったシャンクスの鎖骨辺りに唇を寄せた。

「っ、○○……」

熱い吐息がシャンクスから漏れるのにも何も感じずに○○は強く吸い上げる。

「はっ、」

「よし!」

○○は自分の付けた痕を見て満足感に満ちた顔で頷いた。

「あ、先にお風呂入っちゃって?夕飯準備するから」

用をすませるとさっさと○○は台所へと消えた。

「…………うぅ」

シャンクスは両手で顔を覆うと大きく深呼吸をした。

(何なんだ?!何の試練だ!?俺を試しているのか?!それとも殺す気か?!)

シャンクスは泣きそうになる気持ちを押さえてフラフラと風呂場へ向かった。









浮気防止策








「美味しい?」

「…………あァ」

「シャンクスどうしたの?元気ないね?」

「…………あァ」

「何かシャンクスの好きな物作ってあげるよ!何が良い?」

「○○」

「え?」

「……の作った物ならなんでも」

「そう?ありがとう」

(悪意の無い笑顔が罪だ)



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