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クラウスは先に軍を引き連れビクトールに合流すべくクロムへと向かった。


その頃○○はフリックと共に紋章屋のジーンを訪れていた。

「ふふ。いらっしゃい」

ジーンは妖艶な笑みを浮かべて2人を出迎えた。

「あの、私にもこれが宿せますか?」

○○は滅多に見られない美女を目の前に顔を熱くしながらもジーンにシュウから預かった破魔の封印球を見せた。

「ふふ、そこに座って」

ジーンに促され、椅子に座る。

ジーンはジッと○○を見る。
美女に見つめられ、○○は恥ずかしそうにもぞもぞと動く。

「貴女、とても魔力が高いのね。これなら何でも宿せるわ。まぁ、お勧めは土系と火系かしら。もちろん破魔も合ってるわ」

ジーンはにっこりと笑った。

「えっと、じゃあ、この破魔をお願いします」

○○はドキドキと答える。

「ふふ、右手は土ね。左手と額も平気よ。どこが良いかしら?」

ジーンは妖艶な笑みで言う。

「じゃあ、左手で」

○○が緊張しながら左手を出す。

「ふふ」

ジーンは○○の手を取ると破魔の封印球も手に取る。


ーーキーン


「はい、宿したわ」

ジーンの言葉に○○は左手を見る。

「ありがとうございます!」

「ふふ、どういたしまして」

「っ!!」

○○の礼の言葉にジーンは○○の頬に手を這わせる。

「ほら、行くぞ」

フリックは○○を引っ張りジーンから引き剥がす。

「ふふ、また来てね」

ジーンの声を背中に受け、フリックと○○は紋章屋を後にした。





用意を済ませ、ビッキーの所に行くと、シュウとアップルはすでにいた。

「ティント方面へは竜口の村から灯竜山の山道を通って行く」

シュウが言う。

「竜口の村なら行った事があるから、ビッキーで行けるな」

フリックが言うとビッキーに向かう。

「え?テレポートするの?」

ビッキーはぽけっとそう声を出す。

「ええ、竜口の村までお願いね」

「わかった!えい!!」

アップルの言葉を聞いてビッキーは4人をテレポートした。



「うーん、この浮遊感良いよね」

○○は楽しそうに笑った。

「よし、なら、この奥が灯竜山の山道だ」

シュウの言葉に頷いてフリックを先頭に山道へと進んだ。


山道のモンスター達はフリックが一撃で倒せる敵ばかりであったが、数が多かった。


「フー、これはさすがに疲れるぜ」

フリックは戦闘を終えると、汗を拭くように腕を額に擦り付けた。

「大丈夫?フリック」

○○はあまり戦闘で役に立たない事を恥ながら言う。

「あ?あぁ、もちろん。そう言えばお前、これは使えないのか?」

フリックは弓矢を○○に渡す。

「え……。あの時はテッドさんのお陰だし……」

○○は戸惑いながら受けとる。

「くそっ!また来やがったぜ!」

フリックは○○をアップルとシュウへと押しやると戦闘体勢に入る。

「よ、よし!」

昔、ビクトールに教えて貰った様に弓を引く。







「…………」

「…………」

「何を遊んでるんだ」

シュウの呆れた声に○○はポロリと落ちた矢を大人しく拾い上げた。

「期待してねーよ!」

フリックは戦いながら○○に笑った。







「見事にゾンビだらけだな」

虎口の村へ近付く度にゾンビの数は増えていく。

「でも、少しは私も役に立てる!」

##nNAME1##は破魔の紋章を使いながらフリックをサポートする。

「ああ、さっきより楽になってるぜ」

フリックはニヤリと笑った。

「どうだ?○○。そろそろU主さまの居場所は分かるか?」

「あ、はい」

シュウの言葉に○○は目を閉じた。


すると、眩い光が見え始めた。


「いる!やっぱりこの先だわ!」

○○は目を閉じたまま光る方を指差した。

「そうか、なら早く行くぞ!」

シュウがフリックに命じる。

「まったく、人使いが粗い軍師様だぜ」

フリックはそう愚痴りながらも素直に剣を構え直し、先を進む。






「ふ、フリック!!」

「っぶねぇ!!危うく斬っちまう所だったじゃねーか!」

フリックはナナミを剣の柄で殴りながら言った。

○○の声に反応し、フリックが突然飛び出したナナミを何とか斬り殺さずに柄で殴るに留まった。

「だ、大丈夫?ナナミちゃん!」

○○が慌ててナナミに駆け寄る。

「ナナミ!!」

倉庫から慌ててU主も飛び出した。



ーーパンッ


乾いた音と共にシュウがU主の頬を叩いた。

「気は済みましたか?」

シュウが静かに言う。

○○はシュウが軍師として、どれ程U主を必要としている事を知ったので、何も言わずに我慢した。

ティントが襲われた事、その最中リドリーが戦死してしまった事が伝えられる。


「ごめん、シュウ。僕はもう逃げない!!!」

U主の言葉に、態度に、目の光にその場の皆は希望を見出だした。

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