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「待たせたな。じゃ、行くか」

フリックはサウスウィンドゥの入り口で待っていた○○を見付ける。

「ねぇねぇ、今日の予定は?」

せっかく来たのだから、少し買い物がしたいと思った○○はとりあえず予定を聞いてみる。

「まずはお前の服からだな。前に買ってやるって言ってそのままだろ?」

フリックは○○を見ながら答えた。

「え……?良いの?」

○○は驚いた様にフリックを見上げる。

「ああ、その為に来たんだしな。行くぞ」

フリックは○○の手を取ると町の中へ入っていく。





「あ!フリックこれなんかどう?」

「………………」

服屋にたどり着き、○○は嬉しそうにはしゃいでいた。
最初こそ、フリックを気にしながらうろうろと女物の服を眺めていたが、男物の服を発見すると楽しそうにフリックに合わせ始めた。

「ダメ?」

○○はにこにこと笑いながら首をかしげた。

「何でピンクの服を俺が着ないといけないんだよ」

フリックは呆れる様にため息をついて項垂れた。

「えー?ダメかな?フリックはカッコイイから何着ても似合うのに!」

○○は自分が選んだピンク色のシャツを掲げてフリックと見比べた。

「…………本音は?」

「赤、青、ピンクならバランス良いかなぁーって!」

フリックの言葉に素直に答える○○。

「……………………」

フリックは無言で呆れる。

「で、でも、こう言う服を着こなせるのは大人だと思うよ!」

「そうかい。どつせ俺はガキだよ」

○○の言い訳にフリックは気にした様子なく呟く。

「うー、それって私の事を子供だと思ってる言い方でしょ!」

○○は店の中なのでフリックに詰め寄ると小さな声で反抗する。

「……」

フリックは近付いた○○をじっと見てからニヤリと笑った。

「ガキだと思ってないから抱くんだろ」

「っ!!」

フリックは○○の腰に手を回し抱き寄せると耳元で低い声を出した。

「どうした、○○?顔が真っ赤だぜ?」

フリックは一瞬で離れるとニヤリと笑った。

「っ!!な、何でもないわよ」

○○は結局いつもフリックのペースになってしまうと悔しくなりながら声を出した。

「そうかい。ってかな、俺の服なんてどうでも良いんだよ!○○の服を見に来たってのに」

フリックはまだ持っている○○の手からピンクのシャツを取り上げ、棚に戻した。

「う……。服とか買うの久し振り過ぎて何を買えば良いのか迷っちゃうのよね」

○○は仕方なく女物の売り場へと移動しながら声を出す。

「お前な……」

フリックは少し呆れながら○○を見る。

「最後に自分で服買ったはリューベだったから、そんなに品揃えもなかったし……。こんなにいっぱいあると迷っちゃうよね?」

○○も自分に呆れながらフリックを見上げた。

「……そうか」

フリックは苦笑する。そして棚から服を選び出す。

「じゃあ、これなんかどうだ?」

フリックが選んだのは濃紺のタイトスカート。

「え、選んでくれるの?」

○○は不思議そうにフリックを見上げた。

「あぁ、この調子じゃ今日中にアシタノ城に帰れないからな」

フリックが笑いながら言った。

「そっか。ありがとう!フリック。でも、それ短過ぎる」

○○は困った様に声を出す。

「そうか?なら、これは?」

今度は大人っぽいワンピース。

「…………す、スリット深くない?」

太もも辺りまで大胆にスリットが入っていた。

「うーん、意外に難しいな」

フリックは真剣に悩み始めた。

「ぷ」

「……なんだよ」

○○がフリックを見て笑い出す。

「だ、だってフリック可愛い!」

○○はクスクスと楽しそうに笑った。

「男に可愛いは褒めてねーぞ」

フリックは呆れた様に声を出す。

「ごめんね。あ、これにしようかな?」

○○は動きやすそうな七分丈のパンツを手に取る。

「あぁ。砦にいる時はよくそんなの履いてたな」

フリックがパンツを見た。

「うん。動きやすくて一本持ってると色々使えて良いのよね」

○○は真剣に色や形を見比べる。

「それなら上も買わないとな。これなんかどうだ?」

フリックは襟つきのシャツを取り上げた。

「可愛い!……けどなぁ……」

○○は少し悩みながら声を出す。

「ダメか?」

フリックも自分の選んだ服を見る。

「…………こ、ここが開きすぎで…………あ、痕が……」

○○は襟元を触りながら言いにくそうに声を出す。

「あ……ああ」

フリックは自分のせいだと頷いた。

「あ、でも、これ可愛いから買おうかな?」

○○はフリックからシャツを貰い受ける。

「ならこれとかどうだ?」

ハイネックでノースリーブの服を取る。

「……ど、どこまでつける気?」

出来心でフリックに質問する。

フリックは無表情で指の腹を○○の首から下へとツーッと滑らせる。

「フリック、あの、その」

○○はフリックの指を掴んで止めた。

「何だ?」

フリックは無表情のまま○○を見下ろす。

「な、何か、その顔不安になるから止めてください」

○○は困った顔をした。

「なら、あんまり俺を煽るなよ」

フリックはニヤリと笑って耳元で低く囁いた。

「あお!ないです!ないない!!」

○○は顔を真っ赤にして首を左右に振る。

「そうか?誘われてるのかと思ったぜ」

フリックは笑いながら○○の頭をぽんぽんと叩いた。

「……と、時と場所は考えるよ」

○○は照れながら苦笑した。

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