６７
U主、ナナミ、ピリカ、ヒックス、テンガアール、ルック、フリックそして○○は無事にグリンヒルからテレーズグリンヒル市長代行を連れて帰って来た。
アシタノ城、大広間。
「ご苦労様ですU主殿。 こちらが、テレーズさまですね。歓迎いたしますよ」
シュウ軍師はにこりと笑った。
「そう……ありがとう。でも、今は一人にさせてください。考える時間が欲しいのです」
テレーズは疲れた顔をした。
「お嬢さま！」
大広間に入って来たのはテレーズの護衛であるシンと、フィッチャーだ。
「シン！無事でしたか！！」
テレーズは嬉しそうにシンに近付いた。
「どさくさにまぎれて、一緒に逃げ出したんです。グリンヒルは、抜け道が多いんでね」
フィッチャーはニヤリと笑った。
「よく生きてました。……よかった……… 」
テレーズはシンの姿に泣いて喜ぶ。
「えぇ、○○殿の紋章がなければ、正直……」
シンは○○を振り返る。
「い、いえ！私は何も」
○○はわたわたと慌てて手を振った。
「偉いぞ、○○！！」
ビクトールが笑った。
「フィッチャー、お手柄だぜ。よくあそこから、シンを助け出せたもんだな」
フリックはニヤリとフィッチャーに笑った。
「それが……シンさんだけじゃなくて……」
フィッチャーは申し訳なさそうな顔でフリックから目を反らせた。
「フリックさん！！！！」
「に、ニナ……」
突然のニナの登場にフリックは一歩引いた。
「フリックさん！！わたし、こんなことしちゃ、迷惑かなとも思ったんですけど、でも、でも、やっぱりわたしはフリックさんのそばにいなくちゃいけないと思うんです。運命なんです。そう、だからついてきちゃいました。迷惑……じゃないですよね。あ、そうだ。フリックさんのためにお料理つくって待ってたんです。はい、早く、早く。スープがさめちゃいますから」
ニナは永遠と喋り続けた。
「…………………… U主殿も、 今日はお休みください」
シュウは頭を抱えながらそう言った。
「お帰り、○○」
酒場に行くと、いつもの様にレオナが出迎えた。
「ただいま帰りました！」
○○はレオナに笑いかけた。
「今日は良いんだよ？ゆっくり休んで」
レオナはにこりと笑う。
「ありがとう、でも、明日の仕込みだけやっちゃおうかと思って」
○○はにこりと笑った。
「真面目だね」
レオナはキセルをふかした。
「珍しいな、部屋で飲もうなんて」
ビクトールは持ってきた酒瓶をテーブルに置き、椅子に座った。
「まぁ、たまには、な」
フリックも酒瓶をテーブルに置き、つまみも出す。
「どうした？何かあったのか？」
元々世話好きのビクトールはフリックを見ながら口を開いた。
「……○○と付き合う事にした」
フリックはそう言って酒を煽った。
「そ、そうか。ってか、やっとくっ付いたのか！今更って感じもするが」
ビクトールはニヤニヤと笑った。
「なんだよ、その笑い！まぁ、一応お前には言っておこうと思ってな」
フリックは照れを隠す様に怒った様な顔をする。
「良いじゃねーか！めでたい事だ！まぁ、飲め」
ビクトールはフリックに酒を渡す。
「お、おう」
フリックはビクトールから酒を受け取る。
「あいつなら良いじゃねーか！俺も狙ってたのに残念だな！」
ビクトールは豪快に笑った。
「あぁ？」
フリックは眉間にシワを寄せた。
「○○は女的にも人間的にも魅力あるからな」
ビクトールはニヤリと笑った。
「まぁ、お前と○○は白鹿亭でくっ付いたと思ってたらそうでもねーしよ」
ビクトールが小さく笑った。
「ぶっ！！」
フリックが酒をこぼす。
「……俺が気付かないとでも思ってたのか？」
ビクトールは少々呆れ気味でフリックを見た。
「なのに、全然進展がないからちょこっと手ぇ出したが、まぁ、もう、時効だな！」
ビクトールは、そう言うと酒を煽った。
「…………………………手ぇ出した？」
フリックは低い声でビクトールを見た。
「……え？いや、やべ、口が滑った」
ビクトールは慌てる。
「……てめぇ……」
フリックがゆらりと椅子を立つ。
「いや、待て！待て！付き合う前の話だろ？！」
ビクトールは慌てて手を前に出し振る。
「何しやがった……」
フリックの目は完全に据わっている。
「いや、その、ちょっとちゅーを……」
ビクトールは汗をだらだら流した。
「…………それで？」
「そ、それだけだ！２回だけだ！！」
ビクトールが慌てて指を２本立てる。
「まぁ、あんまりにも可愛いから、ちょっと本気出しちまったが……」
「貴様ぁぁあぁ！！」
フリックはビクトールが座っている椅子に片膝を乗せ、襟元を両手で握ると、そのまま締め上げる。
「だって、あいつよ！普通の時は全然なのに、そう言う雰囲気になると、一気に色気が……」
「っ！！！このエロ熊がぁぁぁ！！！！」
ーーガチャ
「ふー、疲れたぁ」
仕込みが終わった○○が部屋へと帰って来た。
「………………」
そして、フリックとフリックに襲われているビクトールを目にする。
「よ、よお、○○！！」
ビクトールは汗をかきながら、○○に声をかける。
「っ！！見てないよ！」
○○は手で、２人の姿を慌てて隠す。
「ご、ごめんね！お取り込み中って気付かなくて！！あ、私、部屋に行くから、その……」
○○は急いで自分の部屋へと移動する。
「い、意外とこのドア厚いから、中に入ったら、音聞こえないし！わ、私がいても気にしなくて良いから！」
○○は顔を真っ赤にしてそう言った。
「おい○○。何か、凄い嫌な勘違いをしていないか？」
フリックが顔を青くして○○に聞く。
「う、ううん！大丈夫！フリックが私と付き合うって何かおかしいと思ったんだよね！そっか、そう言う事だったんだ！カモフラージュ！！」
○○はチラチラとフリックとビクトールの体制を見ながら部屋に入った。
そう、まるでフリックがビクトールを襲っている様に見えたのだ。
「ち、違ーーーう！！！止めろ！変な想像するの！！」
フリックが慌てて叫び、○○の部屋のドアを叩く。
「う、ううん！大丈夫だから、気にしないで！！」
くぐもってはいるが、ハッキリとした声がドアの向こうから聞こえた。
「って！思いっきり聞こえるじゃねーか！！」
フリックがドアのぶをガチャガチャと鳴らす。
「まあまあ、フリック。あいつも良いって言うんだから、続きでもするか？」
ビクトールがニヤニヤと話しかける。
「っ！お前は事態をややこしくするな！」
フリックはビクトールに怒鳴る。
「まあまあ」
「っ！てめぇはどこ触ってやがる！どこを？！」
ビクトールの楽しそうな声とフリックの怒った声が聞こえてくる。
ーーカチャ
「……」
「……」
「……」
小さくドアを開けた○○が真っ赤な顔で覗いた。
「だ、騙された！」
「お前は馬鹿か！！！」
思いきり呆れながらフリックは○○に叫んだ。
「ガッハッハッハ！！」
ビクトールは大笑いをした。
「お前ら良いな！さて、じゃあ俺はレオナの所に飲みにでも行ってくるわ」
ビクトールはニヤリと笑った。
「え？」
「悪いな、ビクトール」
「えぇ？」
戸惑う○○にフリックが声をかける。
「良いって事よ」
ビクトールは笑った。
「ほら、お前はこっちだ」
フリックは○○を○○の部屋に入れようとする。
「え？え？ちょっと私疲れてる！ってか、その顔怖いから！」
○○はフリックを見上げて冷や汗をかいた。
「あぁ？ここなら容赦はいらないだろ？」
フリックはニヤリと笑った。
「っ！び、ビクトール助け」
「なんだ？俺も交じって良いのか？」
「っ！！そ、それは無理！」
ニヤリと笑ったビクトールにさらに顔を青くした。
「じゃあな、○○」
ビクトールは言うと、部屋から出ていき、フリックは○○の部屋へと入って行った。
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