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「ん……」

○○は眩しさと重さと固さから目を覚ました。

「……おはよう」

「…………」

寝起きにフリックのドアップに固まる。

ほんのり、フリックの目の下は隈が出来ていた。

「お、おはよう」

○○はカッと顔に熱が集まるのを感じた。

「……ねぇ、フリック」

「ん?」

「何もしないんじゃ無かったの?」

○○は、フリックの腕枕で寝ていて、しかもしっかりと抱き締められていた。

「………………これくらいは良いだろう」

フリックはふて腐れた様に言った。

「ふふ、ちょっとびっくりしたけどね」

○○は嬉しそうに笑うと、フリックに抱き付いた。

「良かった。今度は覚えててくれて」

○○はホッとした様にフリックの胸板に顔を埋めた。

「……悪かったな。不安にさせて」

フリックは○○を抱く腕に力を込めた。

「ううん。今、幸せだから良いの」

○○はクスクスと笑った。

「…………そうか」

フリックは愛おしそうに○○を抱き締めた。

「さて、そろそろ起きる?」

○○はクスクスと笑う。

「………………」

フリックはもっと力を込めた。

「フリック、痛いよ」

○○は苦しそうに声を出した。

「…………」

それでもフリックは○○を離そうとしない。

「任務中でしょ?」

○○はクスクスと笑うとフリックの頭を撫でる。

「…………」

「おーい、フリックー。お腹空かない?」

「…………」

「テレーズさま探すんでしょ?」

「…………」

「やっぱり、あのシンって人が怪しいよね?」

「…………」

「フッチャーさん、連絡どうやってしてくるのかしら?」

「…………」

「そう言えばね、ルックも真の紋章宿してるのね」

「…………おい」

フリックから反応がないので、思った事を口にしていく○○。

それに、フリックがようやく反応する。

「なに?」

「…………お前、ずいぶんルックと仲が良いじゃないか」

フリックは○○の体をくるんとベッドに倒し、それに覆い被さった。

「うん、なーんか可愛いよねルック」

○○はクスクスと笑った。

「…………」

フリックは不機嫌そうに○○を見下ろす。

「え?まさか、ルックに妬いてるの?」

○○は不思議そうにフリックを見上げる。

「……そんなんじゃねーよ。ただ、ルックの扱いに慣れてるなーと思ったんだよ」

フリックはぶっきらぼうに言った。

「フリック」

「なんだよ」

○○は真剣な顔をした。

「大好きよ」

「ーーっ!!!」

○○がにっこりと微笑んだ。
不意を突かれたフリックは顔を赤くした。

「はい!じゃあ食堂行こうよ!お腹空いた」

○○はするりとフリックの下から抜け出してベッドから降りた。

「……はぁ、そうだな」

フリックはため息交じりに微笑んだ。







食事を済ませ、準備をすると、部屋を出ようとする。

「なぁ、○○」

フリックがドアを開けようとする○○に声をかける。

「ん?なに?」

○○が振り返る。

「ここ付いてるぞ、ソース」

「え?!どこ?」

○○は慌ててフリックが指差す口の端を手の甲で拭く。

「違う、こっち」

フリックが○○の頬に手を添えて親指で口を拭く。

「ありが」

とうと続ける時にフリックが○○の唇を奪う。

「ん!」

○○の唇を堪能するフリック。

「はっ」

「はぅ……」

フリックがゆっくり○○を離す。

「な、何も……しないんじゃ……」

○○はドアに背中を預け何とか立っていた。

「こんなの何かした内に入らないぜ」

フリックはニヤリと笑った。

「くっ!なんか、悔しい!」

○○は顔を真っ赤にした。

「くく、そんな顔で睨まれても怖くねーよ」

フリックはもう一度○○の唇を奪った。








「フリックさーーーん!!!おはようございます!!」

「げっ」

部屋を出るとニナがフリックを待ち構えていた。

「あら、ニナちゃん。おはよう」

○○はにこりと笑った。

「…………」

ニナは衝撃を受けた様に固まった。

「あれ?ニナちゃん?」

○○がニナの目の前で手をひらひらとさせる。

「よし、今の内に逃げるぞ!」

フリックは○○の手を掴む。

「女の子一人にさせておけないよ!フリックは行って良いよ」

○○は後は任せてと微笑んだ。

「……わかった。頼むぞ!」

そう言うとフリックは疾風のごとく去っていった。

「……さすが」

○○は少し呆れながらフリックの背中を見送った。

「ねぇ、ニナちゃん?」

○○はもう一度声をかけた。

「はっ!フリックさんは?!貴女は誰?!フリックさんのなに?」

意識を取り戻したニナは次々と質問する。

「フリックなら、ナナミちゃん達の所よ。私は○○。フリックの妻です」

一応そう言う設定を思い出すとそう頭を下げた。

「ふ、ふぇーーーん!!!」

ニナはそれを聞くと大声で泣き始めた。

「あらら、泣かせちゃった」

○○は困った様に笑った。

「み、認めないわ!貴女がフリックさんと夫婦だなんて!」

ニナがキッと○○を睨み付けた。

「うーーん。そうね」

○○は悩みながら言った。

「……でも、フリックには私よりももっと大切な人がいるのよ?」

「もっと……大切な人?」

ニナはえぐえぐと泣きながら聞き返した。

「うん。フリック本人に聞いてみたら?」

○○はにっこりと笑った。

「……な、なんで」

「ん?」

「なんで○○さんは私にそんな事言うの?」

ニナは不思議そうに聞いた。

「うーん、恋をするってね、私は良い事だと思うの。結果はどうあれ、恋愛って常に人を成長させるわ」

○○はにっこりと笑った。

「私は可愛いものの味方だもの」

○○はクスクスと笑った。

「じゃあ、私がフリックさん取っちゃっても?」

ニナはそう強い瞳をした。

「ふふ、あげる気はないわよ」

○○はニヤリと笑った。

「っ!!フリックさーーーん!!!私、負けないわーーー!!」

ニナはまた元気良く飛び出して行った。

「あら、火に油ね」

○○はクスクスと笑った。

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