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「もう、何人増えても良いですよ」

フィッチャーはやれやれと喜ぶU主とナナミ、そしてピリカを見た。

「学園への侵入は学生に成り済ませる者にしてください」

シュウがそうU主に言う。

「あ、ねえ、シュウ。もう一人連れて行きたい人がいるんだけど……」

U主はにっこりと笑った。








「○○さーん!!」

○○が酒場で仕込みをしているとU主が入って来た。

「あ、U主くん!どうしたの?」

○○は同盟軍リーダーのU主を見た。

「これから一緒に来てくれる?」

U主がにっこりと笑った。

「これから?まだ、仕込みが……」

「リーダー命令!」

○○が困った顔をすると、U主はピシャリと言った。

「え?こんな所で?」

○○は驚いた様に笑った。

「後は任せて行っておいで」

レオナはニヤリと笑った。

「え?でもレオナ……」

「ありがとうレオナさん!」

U主は○○の腕を掴むと、走って酒場を後にした。






「ちょ、ちょっとU主くん!ここって会議とかする大広間じゃ!」

バンと勢いよく扉を開けると、中にはシュウ、アップル、フッチャー、ナナミ、ピリカ、ビクトールそしてフリックがいた。

「お待たせ!」

U主は上機嫌でシュウの前に○○を、連れて来た。

「……一緒に連れて行きたいとはその女性ですか?」

シュウの眉間にしわが寄る。

「うん!」

U主は上機嫌で頷いた。
対する何も聞かされずに連れて来られた○○は困った顔をする。

「確か、ここに初めて来た時にいた顔だな」

シュウは仕方なく○○に顔を向けた。

「あ、はい。酒場でコックをしてます、○○です」

○○はとりあえずシュウに自己紹介をする。

「……グリンヒルがハイランドの手によって落ちた。そこで、U主さま達にはグリンヒルへ潜入してテレーズ殿を助け出しに行ってもらう。そう言ったら、君を連れて行きたいと行って来た」

シュウはそう説明した。

「……あぁ」

○○は納得した。そう言えば前にグリンヒルへ行こうとU主と約束をしたのだ。

「僕、約束を守る男です!」

キリリとU主は言った。

「ねぇねぇ、シュウさん!○○さん凄いんだよ!U主の事目をつぶっても、暗闇でも居場所が分かるんだよ!」

ナナミは嬉しそうにシュウに報告する。

「?どう言う事だ?」

シュウはナナミの話に興味を引かれる。

「あのね、○○さん目を閉じると、真の紋章が見れるんだって!」

ナナミはね?と○○に顔を向けた。

「……本当か?」

シュウは○○を見た。

「は、はい」

○○は戸惑いながらも頷いた。

「ふむ、それは便利だな」

シュウは考えるように手で顎を撫でる。

「俺は反対だぜ!なんで危険な場所に○○を連れて行く意味がある!」

それまで事の成り行きを見ていたフリックが不機嫌に口を開く。

「私は賛成だわ!○○さんはあの、シードやクルガンからも逃れているんだから!」

アップルはシュウに声高く言った。

「「アップル」ちゃん!」

フリックと○○は同時にアップルを咎める声を出した。

「あの、猛将と知将をか……?」

シュウはますます興味を持つ。

「なら、問題ないじゃん!」

ナナミは嬉しそうに○○の袖を引いた。

「……」

○○は困った顔をする。

「……まぁ、では、この件は私が預かります。U主さまとナナミ殿はピリカを連れ、他のメンバーと打合せをしていてください。アップル頼んだぞ」

「はーい!」

「はい」

シュウの言葉にU主達が大広間を出て行く。

「では、私も先にグリンヒルへ向かいます」

「頼む」

フィッチャーはやれやれと外に出た。

「ほんじゃ、俺も先に行くぜ」

ビクトールも大広間から出て行った。

大広間には、○○とシュウ、そしてフリックが残される。

「まぁ、お前達の反応を見て大体は分かったが……」

シュウは○○を見た。

「お前に興味を持ったのはシードか?クルガンか?」

シュウはズバリと聞く。

「………………猛将」

○○はため息交じりに言った。

「シードか。クルガンの方は?」

「…………わ、私が猛将の弱味になり得るからと、殺されかけました」

○○は言い逃れは出来ないと素直にシュウに言う。

「なるほどな。皮肉だな、惚れた女が敵軍とは」

シュウは○○を見た。

「……」

○○はシュウの視線に耐えきれずに視線を外す。

「正直、軍師としてはお前を使わない手はない」

シュウは静かに口を開く。

「これから我らがリーダーに行っていただく場所は敵地のど真ん中だ。U主さまに有利になる事は出来るだけしたい」

「シュウ!」

シュウの言葉にフリックは怒鳴る。

「お前はグリンヒルでシードとクルガンに会った時、逃げ切る自信はあるか?」

フリックを無視する形でシュウは○○をまっすぐに見た。

「……逃げ切る自信はないわ」

○○は静かに口を開く。

「でも、まだ向こうが私に興味を持ってたら、U主達を逃がす事は出来ると思う」

「○○!!」

○○の言葉にフリックが○○に掴みかかる。

「お前、何を言ってるのか分かってるのか?!」

フリックは怒りをあらわに○○を睨み付ける。

「わ、分かってる。でも、今必要なのは、私よりもU主だから!」

○○はフリックの怒気を間近に恐怖を感じたが、気丈にそう言った。

「っ!お前っ!」

フリックはイライラと○○を睨んだ。

「…………まぁ、シードとクルガンがグリンヒルにいるとも限らん。危険だと思えばお前が助ければ良いだろう、フリック」

シュウはフリックを○○から引き離す。

「……」

フリックは納得しないまま、ため息をついた。

「わかった。ただし、お前は俺から離れるな」

フリックはそう○○に言った。

「うん、わかった」

○○は柔らかく笑った。

「ならば、お前達は年が近いしな、夫婦と言う事で潜入してくれ」

シュウはそう言うと、新しい書類を持ち、大広間から出て行った。

「……お前は危機感がないのか……」

フリックは大きくため息をついた。

「ううん。フリックと一緒だから、平気だよ」

○○はにっこりと笑った。

「もしかしたら、ここに帰って来る事もないかもしれないね。ちゃんと支度しなきゃ」

○○はにっこりと笑った。

「させるかよ」

フリックは小さく呟いた。

「ん?何か言った?」

○○は不思議そうにフリックを振り返る。

「ちゃんと俺が守ってやるって言ったんだよ!」

フリックはぶっきらぼうに言った。

「っ!うん!」

○○は心底嬉しそうに笑った。

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