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U主達新同盟軍がトゥーリバーに行っている。
他のメンバーもそれぞれシュウの命で動いていた。
もちろん、ビクトールもフリックも色々と動き、アシタノ城にいなかった。
○○はレオナと一緒に酒場を切り盛りしていた。
「こんにちは」
美人の女性と男性、そして子供が入って来た。
「え?あ!ヒルダさん!!」
○○は酒場の厨房から出て、ヒルダその旦那アレックスその子供ピートに近付いた。
「あら、貴女は確か」
ヒルダは○○のワンピースを見て思い出す。
「はい、○○と申します。その節はお世話になりました」
○○は丁寧にお辞儀をした。
「いえ、○○さん。ワンピース着てくれて嬉しいわ」
ヒルダはにこりと笑った。
「こ、これしかなくて……。すみません。せっかく頂いたのに、夜寝る時にも着ちゃってます」
○○はわたわたと恥ずかしそうに言った。
「あら、嬉しいわ」
ヒルダは優しく笑った。
「所で、どうしてここに?」
○○は不思議そうに聞いた。
「あぁ、白鹿亭もハイランド軍に占拠されてな。これからこの上で、宿屋と道具屋をやるつもりだ」
アレックスがそう説明をした。
「そうだったんですか。大変だったんですね」
○○は悲しそうな顔をした。
「ええ、でもU主さまに場所をいただいたので」
ヒルダはにっこりと笑った。
「一番近いですし、これから宜しくお願いしますね」
「こちらこそ!宜しくお願いします」
ヒルダとアレックス、ピートはそう挨拶をすると、酒場から出て行った。
酒場の仕事が終わり、○○は部屋に帰ってきた。
ビクトールもフリックも留守で、一人自分の部屋に入る。
「はぁ……」
○○はベッドに転がり枕を抱くとあの白鹿亭の一夜を思い出した。
もう、ずいぶんと時間が経った様に思た。
あの時、自分はフリックの事を好きになったのだろう。
行いを正当化する訳ではなく、気持ちがきっとフリックに傾いてしまったのだ。
実際、ビクトールとのキスは嫌では無かった。むしろゾクゾクとしたが、トキメキと言う物はなかったのだと思う。
「……もう……」
一度認めてしまった感情を押さえ込む事は難しい。
○○はフリック恋をしてしまっていた。
「こうなったら、当たって砕けろ……かな?」
○○は一人頷いた。
次の日、酒場にヒルダがやって来た。
「こんにちは、○○さん」
「こんにちは、ヒルダさん!」
○○は嬉しそうにヒルダに近付いた。
「これ、良かったら貰ってくれる?」
ヒルダはそう言うと紙袋を差し出す。
「なんですか?」
「開けてみて」
ヒルダは嬉しそうに笑った。
○○は不思議そうにしながら、紙袋を開けた。
「あ……。ワンピース」
○○が中を開けると、ワンピースが二着出て来た。
「うん、アレックスの道具屋に交じってたの。もし良かったら貰ってくれる?」
ヒルダはにっこりと笑った。
「え……そ、それは悪いです!あ、お金払います!」
○○は焦って財布を取り出す。
「ふふ、これね、アレックスが間違えて発注したの。売り物じゃないから、値段が分からないわ」
ヒルダはにっこりと笑った。
「そ……それじゃあ……」
○○は困った様な顔をする。
「良いの。一着は普通のワンピースなんだけど……もう一着はちょっと大人向けだけど」
ヒルダはウインクをした。
「……あ、本当だ」
○○が見ると一着はヒルダに貰ったようなワンピースだが、もう一着は体の線がしっかりと出る、セクシーなものだった。
「ね?だから」
ヒルダは困った様に笑った。
「なら、今夜にでも夕飯食べに来て下さい!私、一応コックなので」
○○はにっこりと笑った。
「まぁ!嬉しいわ!アレックスもピートも喜ぶわ」
ヒルダはにこにこと嬉しそうに笑った。
「じゃあ、お待ちしてますね!」
○○は紙袋を大事そうに抱えた。
「ええ、うかがいますね」
ヒルダも頷いた。
その夜、アレックス一家は○○の料理に大満足だった。
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