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そして、開戦。

軍師シュウの策が実り、U主は見事ソロン・ジーの部隊の背後を取る事に成功。
フリードの活躍もあり、元同盟軍の兵達が寝返るのにも成功。

優勢に見えたハイランド軍は一気に劣勢となり、敗退した。






夜、酒場


激戦を制した戦士達が癒しを求めて、酒を飲み交わしていた。


「みんな、お祭り気分だね」

○○は苦笑しながら言った。
すでに腹は満たされているらしく、コックである○○の役目は終わっていた。

「そうだね。まぁ、ここ負け戦ばかりだったからね。仕方がないさ」

レオナはキセルをふかした。

「本日の英雄はあそこで悩んでますけどね」

○○はU主が頭を抱えるテーブルを指差す。

「……いきなりの同盟軍リーダーだ。大役だからね。悩むだろう」

レオナもU主を見た。

「私、ちょっと行って来る」

○○はU主の座るテーブルに近付いた。

「どう?U主くん。リンゴジュースなんて」

○○はリンゴを絞ったジュースを見せた。
目が見えるようになってから、色々探検すると、楽しい発見があった。

「いただきます」

U主は疲れた顔でコップを出した。

「シュウ軍師にリーダーになれって言われたんだって?」

○○は隣に座ると、リンゴジュースをそそぐ。

「……はい。でも、僕なんかじゃ……」

U主は苦笑した。

「そうかな?私には分からないから無責任な事言えないけど。U主くんなら良いと思うな」

U主は笑った。

「そう……でしょうか?」

U主が顔を伏せた。

「貴方がユニコーン部隊でルカ・ブライトに奇襲を受けたのも偶然」

「っ!」

○○は静かに口を開いた。

「ビクトールとフリックと私に流されてる所を捕まったのも偶然。ツァイさんを迎えに行ってリューベの惨劇を見たのも、傭兵の砦で同盟軍として戦ったのも、負けて逃げたのも、偶然」

○○はにっこりと微笑んだ。

「その、紋章を宿したのも。アナベルさんの事も、全部!なのに、シュウ軍師は貴方にソロン・ジーの背後を取らせたのは必然」

ぴしりとリンゴジュースを差し出した。

「……」

「あの軍師さん、怖い人だけど、信用は出来そうよね」

○○はにっこりと微笑んだ。

「……はい」

U主は頷いた。

「同盟軍のリーダーって凄く大役だとは思うけど、やりがいはあると思うな。平和な世の中の為に。誰も傷付かないための……。よく、迷って、よく、考えて。自分で答えを出してね」

「……はい!」

U主はリンゴジュースを飲んだ。

「あっ!いた!もー、探したよ」

ナナミが酒場に入って来た。

「○○さんとなんの話してたの?」

ナナミは興味津々とU主と○○を見比べた。

「うん、グリンヒルって学園都市に行ってみたいって」

○○はにっこりと笑った。

「グリンヒル?」

「そう。私も貴方達くらいな年頃だったら、勉強とか思いっきりしてみたかったな」

○○は椅子から立つと伸びをした。

「なら、今度機会があったら、行きましょう!」

U主が勢い良く言った。

「うんうん!私も○○さんと一緒に行きたいなぁ!」

ナナミも楽しそうに笑った。

「うん!その時は宜しくね」

○○は笑った。

「あ、ナナミちゃん。リンゴジュースあげる。もう遅いから、お休みなさい」

○○はナナミにリンゴジュースを差し出した。

「うん!ありがとう!お休みなさい○○さん」

ナナミはリンゴジュースを受け取ると嬉しそうに笑った。

「お休みなさい○○さん」

U主もにっこりと笑うとナナミと一緒に酒場を後にした。






「……なんか……」

「どうしたんだい、○○?」

○○の呆れた顔にレオナが聞いた。

「あそこ」

○○が指差したのは酒場の一角のテーブル。
そこにはビクトール、フリック、リィナ、アニタ、リキマルが酒を飲んでいた。

「クスクス、気になるのかい?」

レオナはニヤニヤと笑った。

「はぁ、男の人ってなんで美人に弱いんですかね」

○○はため息をついた。

「さぁ」

レオナは妖艶な笑みを浮かべる。

「……私も出来る事なら美人に生まれてみたかったです」

○○は苦笑した。

「ふふ、気になるなら行ってきたら?」

レオナは酒瓶を揺らす。

「嫌ですよ。あんな酔っ払い集団。女の子だけなら良いけど」

○○は後片付けを終わらせる。

「さ、てと、私先に上がりますね」

○○はエプロンを取った。

「おや、良いのかい?」

レオナはクイッと酔っ払いテーブルを顎で指す。

「……良いんじゃないですか?」

○○は少しだけふて腐れた。

「じゃあ、お休みなさい」

○○はレオナに声をかけた。

「あぁ、お休み」

レオナはにこりと笑う。




○○は先に風呂場で汗を流して服を着る。

結局、まだ新しい服は手に入っていないので、ヒルダに貰った3着のワンピースを着回していた。

「早く新しいの欲しいな」

○○は少しだけ寂しそうに言った。

目が見えるようになると、部屋の狭さが余計に分かった。
元々、用具入れなのだろうから仕方がない。

「まぁ、でも不自由はしてないから、良いか」

○○はパタンと扉を閉めた。

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