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「やったぁぁぁ!!!」

「U主様ばんざーい!!!!」

「同盟軍ばんざーい!!!」


人々の歓声と共にアシタノ城にU主達が帰って来た。

「フリック!ビクトールも!みんな無事だ」

○○は人の群れの後ろの方から見ていた。
無事な姿を確認すると○○はそっと涙を流すと祝賀会の準備をするべく、酒場の厨房へ走った。


○○は一心不乱に料理を作り続けた。





「勝利を祝おう!!乾杯!!」

「「「乾杯!!」」」

祝賀会が始まる。
ハイ・ヨーと○○が用意した彩り豊かなご馳走が並ぶ。

「あ!ゲオルグさん!これ、ケーキ!!」

○○はゲオルグを見つけ、新作のケーキを渡す。

「うむ!これ絶品だな」

ゲオルグが受け取ったケーキを一口で食べると嬉しそうに微笑んだ。

「良かった!ありがとうございます!」

○○はにこりと笑った。約束が果たせて○○はホッとした様に笑った。

祝賀会はこのまま終わりがないかの様に進んだ。誰もが笑い、誰もが勝利に酔っていた。

しかしその中でも芳しくない顔をしている者も中にはいる。


「よー!○○!」

「ビクトール!」

ビクトールの声に○○は嬉しそうに振り返る。

「これ!カナカンのお酒なんだって!飲む?」

○○は持っていた酒瓶を振りながらビクトールに見せた。

「おう!飲む飲む!」

ビクトールは嬉しそうに持っていたジョッキを空にする。

「はい!どうぞ」

○○はジョッキを酒で満たした。

「フリックには会ったのか?」

ビクトールは○○を見る。

「……ううん、まだ」

○○は少し困った様に笑った。

「そうか、じゃあこんな所にいないで、早く奴を労ってやりな」

ビクトールはニヤリと笑った。

「……うん」

○○は頷き、その場から走り去る。

ビクトールはその背中を見送った。
ビクトールはフリックとシードの会話を聞いていた。もちろん、フリックには聞いていない振りをしたが。
だがこれは恋人同士であるフリックと○○の問題であり、土俵から自ら降りたビクトールが口を出す話ではなかった。

ビクトールは○○の背中が完全に城に入るのを見送ると笑顔で祝賀会の中へと足を踏み入れた。

ビクトール自身、大きな戦争は2度目だが終戦の祝賀会は初めてだった。





フリックは一人部屋でベッドに寝転んでいた。
見つめる先はシードの血の付いた猫のネックレス。

「…………」

フリックは無表情でその揺れる猫を見ていた。






「……フリック」

○○が部屋に入るとフリックはベッドに寝転がっていた。

「○○か」

フリックはネックレスをしまいながら声を出した。

「あ、ごめん。寝てた?」

「いや」

フリックは体を起こした。

「……こっちに来いよ」

フリックが○○に手を伸ばす。

○○は躊躇ったが、フリックの方へ近付く。

フリックの手に掴まれると、そのままベッドへと組み敷かれる。

「ま、待ってフリック!!あのね!」

○○は焦った様に声を出す。

「黙ってろ」

フリックは手で○○の目を覆うと噛みつく様に口付ける。

(……やっぱり……フリックは知ってる。私がシードにされた事)

○○は覚悟を決めてフリックを受け入れた。




朝、フリックは何も言わずに部屋を出た。

いつもとは違い、痛みを感じる行為に○○の体は悲鳴をあげていた。


○○は何とか起き上がると、荷造りを始める。

いつもの茶色いリュックに着替えや少しの化粧品。それに変装道具などを入れる。

「これ、美味しかったよね」

○○はいつ買ったか覚えていないミルクティー用の葉なども入れた。

さすがにウェディングドレスは持っていけないので、前日にゴードンへ売った。大金になって驚いた。

「よいしょっと」

○○はすでにレオナにもアシタノ城を去る事を告げている。

ロッドを持つと、フリックと過ごした部屋を見回した。

「…………楽しかったな」

泣きそうになるのを何とか堪えると、○○は部屋を後にした。




「え?テレポートするの?」

ビッキーがそう驚いた声を出す。

「うん!お願い!」

○○はにっこりと微笑んだ。

「えっと、どこに?」

ビッキーの質問に、○○は記憶を無くした時に訪れていた村の名前を言う。

「わかった!いくよ!えい!!あっ!!!」

ビッキーの焦った声と共に飛ばされたのは、目的地では無かった。

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