112
場所はアシタノ城、約束の石盤前。
○○は約束の石盤を見ていた。
「凄い!全部埋まったのね!」
○○は感心したようにまじまじと石盤を見た。
「まぁね。あんたがどこかに行ってた間にね」
ルックは相変わらず冷めた声を出す。
「そうなんだ!気が付いたらグリンヒルまで解放してたしね!」
○○はにこにこと笑った。
「…………大変だったんだよ。特に青いのが」
ルックはぽつりと呟く。
「ん?何か言った?」
○○はルックを振り返る。
「……別に」
ルックはプイッと横を向いた。
「そう?」
○○はルックを不思議そうに見る。
「みんな!大広間に集まってとのお達しだ!」
シュウの命でそう伝令が走っていた。
「……集まれって」
○○はルックを振り返る。
「……面倒」
ルックはぱらりと本のページをめくる。
「え……ち、ちょっとルックくん?それは不味いでしょ」
○○はルックの手を握る。
「何するのさ?」
ルックは不機嫌そうに○○を見る。
「行こうよ!ルックくんがいれば108星じゃない私も入れるかもしれないし!」
○○はにっこりと笑った。
「…………」
ルックは仕方なく本を閉じた。
「ふふ、ありがとう、ルックくん」
○○は嬉しそうに笑い、ルックの手を引く。
「……その笑い気持ち悪いよ」
「照れない、照れない!」
「照れてない!!」
○○とルックは大広間に向けて歩き出した。
大広間にはすでに溢れんばかりの人が集まっていた。
「○○さん!ルック!早く入って!」
アップルに急かされる様に2人は大広間の後ろの方へ行く。
「あ、ビクトールとフリックは壇に乗ってる!」
○○はルックの手を握ったまま2人に手を振る。
先にビクトールが気付き、手を振り返し、フリックを小突く。
フリックは○○に気付き、軽く手を上げる。
ルックは何を思ったか、不機嫌な顔のまま繋がった手を上げる。
フリックはそれを見て眉間にシワを寄せた。
「相変わらずあの青いのは冗談が通じないね」
ルックは興味なさそうに呟いた。
「ふふ、面白いでしょ」
○○は楽しそうに笑う。
その様子を見ていたフリックの眉間のシワは濃くなった。
U主が壇上に現れ、ロックアックスへ進撃する事を宣言する。
するとレックナードが現れ、108星が揃った事を宣言。
そして○○の盾の紋章が光輝いた。
「っ!凄い……」
○○はその様子を目を閉じて見ていた。
「ねぇねぇ、レックナードさんって何者なの?」
○○はレックナードが居なくなった場所を見た。
「詳しくは僕も分からないけど、未来が見えるんだ」
ルックはそう呟いた。
「へぇ。なんか、大変だね」
○○はそう呟く。
「…………何故?皆は未来が見える事を喜ぶよ」
ルックは○○を驚いて見た。
「……だって、見たくない未来もあるだろうし、何よりつまらないじゃない」
○○はにこりと笑った。
「……………………お気楽だね」
そう言うルックの顔はとても楽しそうだった。
その夜の事。
「え?私も?」
○○は驚いて自分を指差した。
「何でも急ぎだそうだ。行くよ」
レオナがそう言うと大広間へ足を向けた。
「よく集まってくれた」
シュウはそう言うと集まった者達を見た。
そこにいたのは倉庫のバーバラ、宿屋のヒルダとアレックス。
そして、酒場のレオナと○○だ。
「一体何なんだい?」
バーバラが不思議そうに腕を組む。
「明日はロックアックスへ進撃する。しかし我々にとって厳しい戦いになる」
シュウは厳しい顔付きで言う。
「そこでだ、お前たちには一軍となってもらう」
シュウはそう告げる。
「待てよ!俺は良いが、ヒルダや他の人は非力な女ばかりじゃないか!」
アレックスがヒルダを庇うようにシュウを睨み付ける。
「そうだ。だから、一度しか使えない策だ。いよいよと言う時に合図を出す。敵に伏兵がいると分かればそれで良い」
シュウは強く頷く。
「でも、さすがにただいるだけってのはどうなんだい?」
レオナが腕組みをした。
「そこで、だ」
シュウは○○を振り返る。
「え?何か?」
○○は不安そうにシュウを見上げる。
「お前は倒れても良いから一番近い隊に魔法を派手にぶっぱなせ」
シュウは頷いた。
「え?ええ?!」
○○は困った様に自分を指差した。
「これは賭けだ。お前の腕に全てかかってる。やれるな?」
シュウは○○の肩に手を置く。
「……そ、そうでしょうか?」
○○は不安そうに言う。
「マチルダ騎士団を取り返さなければ、同盟軍は終わりだ」
シュウは静かに真実を告げる。
○○は戸惑った。
「まぁ、悩むのはやってからにしないか?」
アレックスが声を出す。
「そうね、○○さん。やってみましょうよ!」
ヒルダは少女の様に笑った。
「そうそう!傭兵の砦の力を見せてやろう!」
バーバラが○○の背中を叩く。
「そうだね。やるだけやろう」
レオナもにこりと笑った。
「出来るな?」
シュウは○○をじっと見る。
「……はい!頑張ってみます!!」
○○は力強く頷いた。
「では、他の者には他言無用だ」
シュウはそう強く言った。
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