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「さっきまで雨なんて降りそうもなかったのに」
○○は困った顔をして空を見上げた。
「……こりゃ、本格的に降って来そうだな」
シードも空を見上げた。
「っ!!降って来た!」
急にザーっと言う音と共に雨が強く降って来た。
「ちっ!どうするか?」
シードは舌打ちをして、上着を脱ぎ、○○と自分で被った。
「あ!私の部屋に行く?このままじゃ風邪ひいちゃうよ!」
○○は激しい雨音に負けないように叫んだ。
「……そうだな。行くぞ!」
シードは一瞬考えたが荷物を持つと○○を促した。
2人は走り、町の一軒しかない宿屋に入った。
「あれ?誰もいない」
宿屋の受け付けには誰も居らず人の気配も無かった。
「とりあえず、後で言えば良いよね?部屋に行って着替えなきゃ!」
○○はシードを連れて自分が連泊する部屋へと入った。
「凄い雨だね。これ、とうぶん止まないんじゃないかな?」
○○は困った様に窓から外を見た。
「あー、こりゃ、雷も来そうだな」
シードも○○越しに外を見る。
「……雷?」
○○は少し困った顔をする。
「なに?お前、雷嫌いなのか?」
シードは少し驚いた顔をする。
「え?そんな事もないよ?」
○○はにこりと笑うが、どこかひきつっていた。
「そうか?」
シードはニヤリと笑った。
「そ、そんな事より!シードも濡れてるよ!シャワー使って良いから服脱いで乾かさなきゃ!」
○○は誤魔化すように風呂場のドアを開ける。
「○○もびしょびしょだぜ?」
シードは○○を見た。
「私はシードが庇ってくれたから、足元だけだよ!ほら、早く」
○○はシードを風呂場へ押し込んだ。
「へいへい。じゃあ、借りるぜ」
シードは苦笑しながら風呂場のドアを閉めた。
「よしっと、何かシードが着れそうなのあったっけ?」
○○は荷物や部屋のタンスを開けてみた。
「ふぅ、生き返ったぜ」
シードが風呂場から出てきた。
「っ!!な!何て格好してんのよ!!」
○○は真っ赤な顔で怒った声を出す。
○○はワンピースに着替えていた。
シードはバスタオルを腰に巻き、髪をハンドタオルで拭いている。
それだけだ。
「ん?鍛えてるから醜くないだろ?」
シードはニヤリと胸を張る。
「いや、確かに綺麗な体……じゃなくて!」
○○は呆れた様に声を出した。
「だって、着るもんねーし。とりあえず、服やら下着やらは干させて貰ったぜ?」
シードはそう言って干してある服を指差す。
「も、もちろん!……そ、そっか。で、でも何かないかしら?」
○○はどこを見て良いのやら迷っていた。
「別に俺は見られても構わないぜ、○○にならな」
シードはニヤリと笑って○○に近付く。
ーーゴロゴロドゴーン
「キャッ!!」
「っ!!」
すぐ近くで雷が落ちる音がした。
驚いて○○は窓から離れる様にシードにしがみつく。
「うぅぅ……」
○○は小さくうめき声をもらす。
「……近くだな」
シードは窓の外を見ながら○○の肩を抱いた。
「っ!と、ごめんっキャッ!!」
○○がシードから離れ、謝ると同時に再び雷が落ちた。
○○はシードに再びしがみついた。
「こりゃ、続くな」
シードはまだ窓の外を見ながら○○を抱き締めた。
「…………」
○○は小さく震えながらも冷静を保とうとシードから離れようとする。
が、シードの腕は力強く○○を抱いていた。
裸の胸板を頬に感じて○○の顔は熱くなる。
「……男を自分の部屋に呼んだんだ。良いよな?」
シードの言葉に○○はシードを見上げた。
雷に写し出される真剣な顔はとても綺麗だった。
「んんっ」
○○が何も言わないでいると、シードは○○に口付ける。
それは、触れるだけの甘いものではなく、深い、呼吸までもが奪い取られそうな噛みつくような口付けだった。
「ふっ」
「んはぁ」
シードは力の抜けた○○を抱き締めながら唇を離す。
「好きだ」
シードは一言そう○○に告げた。
「……私も……」
○○は考えるよりも先に口からそう言葉が出た。
シードは目を細目、口付ける。
そしてゆっくりとベッドへと○○を押し倒した。
片手でワンピースのボタンを外し、胸元を開ける。
下着をずらし、直接手で胸を触る。
「あ……ん」
その度に○○の口からは甘い声がもれる。
もう片方の手でスカートから手を入れ、太ももから尻をゆっくりと撫でる。
「……柔けぇ」
シードは○○の首筋に顔を埋めながら声を出す。
「っん!や……」
「やじゃないだろ」
シードは優しく○○を攻め始めた。
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