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「ご馳走さん!」

○○お手製のランチを食べ終わった2人。

「良かった!たくさん作っちゃったから残るの心配してたんだ」

○○は照れながら話す。

「そうか?まだ食えるぜ」

シードはニヤリと笑った。

「そう?コックとしては嬉しい限りだわ」

○○は嬉しそうに笑った。

「あんまり時間も無いが……まだ大丈夫だな」

シードは空を見上げ、太陽を見た。

「時間……ないの?」

○○は少し残念そうに声を出す。

「まぁ、お仕事だからな」

シードは苦笑した。

「そう、なんだ」

「お前一人なら良いが、将来的には4、5人養うとするなら今から貯めないとな、金」

シードは○○の頭を優しく叩く。

「え?4、5人も女の人囲うの?!」

○○は驚きながら眉間にシワを寄せた。

「お前は馬鹿なのか?女はお前一人で十分だ。なら、ガキだろ?」

シードは○○の頭を乱暴にかき回す。

「え?ええ?!」

○○は顔を真っ赤にして乱れた髪をそのままにシードを見上げた。

「俺は少なくても2、3人は欲しいんだよ。賑やかな家に帰りたいんだ。そうだな、出来たら男も女も欲しいな。○○に似た可愛い女が良い」

シードは穏やかな顔で笑った。
その顔に○○は釘付けになった。

「嫌か?」

シードは真剣な顔で○○を見つめた。

「う、ううん!そんなこ……と」

ないと言おうとしたが、何故か○○の脳裏にフリックの顔が横切る。

「まぁ、焦る必要もないか?」

シードは言葉を切った○○にニヤリと笑った。

「あ……うん」

○○は困った顔をしながら髪を調えてから、シードに寄りかかった。

「どうした?」

シードは○○の髪を優しく撫でる。

「ごめんね」

○○は弱々しく呟いた。

「なにが?」

シードは○○の髪に口付けながら聞いた。

「思い出せなくて……」

○○は泣きそうな声を出した。

「俺は気にしないぜ」

シードはにこりと笑った。

「でも!」

○○はがばりと起き上がり、シードの顔を正面から見る。

「お前もあんまり気に病むな。別に記憶がないからと俺は○○を嫌いになれる訳じゃねーし、突き放す気にもなれねー。なら、初めからやり直せば良いだけの話だろ?」

シードはまるで自分に言い聞かす様に声を出した。

「初めから……」

○○の瞳から涙が零れた。

「そうだ。俺はお前を忘れねぇ。それで十分だろ?」

シードは優しく○○の頬を両手で撫でる。

「……寂しくない?」

○○はつらそうな顔をした。

「……お前が俺を好きになれば何の問題もない」

シードはゆっくり○○に近付き、触れるだけの口付けを贈る。










「シード。どこに行っていた」

クルガンが不機嫌そうに眉間にシワを寄せた。

「昼休憩くらい好きにさせろよ」

シードはニヤリと生意気そうな顔でクルガンを見る。

「ふぅ。言いたくはないが、戦場から将が姿を消すな。部下たちの士気に関わる」

クルガンは声固く言う。

「わーってるよ。そう口煩く言うなっての」

シードな面倒臭そうに手を振る。

「それに、今なら一人で同盟軍の軍隊ぐらい倒せそうだぜ」

シードはニヤリと笑う。
クルガンは背中をぞくりと震わせた。シードの言葉が本物だと解ったからだ。


決して冗談ではない。
今のシードならば、軍隊は愚か、U主さえも破りそうな顔付きだ。


だからこそ、原因を突き止めておかなければ恐ろしい事になりかねないとクルガンは思った。

「一体そのやる気はどこから来た」

クルガンは静かにシードを見た。

「へへ。いくらクルガンでも言えねーな」

シードはニヤリと笑った。

「…………どうでも良いが、不毛な事はするなよ」

クルガンは冷静にそうシードに言う。

「……」

シードの表情は動かない。
こうなれば、どうしたって口を割らないと分かっているクルガンはくるりとシードに背を向ける。

「……クルガン」

シードは静かにクルガンを呼び止めた。

「なんだ?」

クルガンは顔だけを振り返る。

「……不毛な事は悪いのか?」

シードは変わらぬ顔だ。

「………………さてな。俺には分からん」

クルガンはそれだけ言うとまた足を進めた。

「…………正直、俺にも分からねー」

シードは苦笑しながら空を見上げた。



次の日、ミューズを巡り、ハイランド軍と同盟軍が戦い、ハイランド軍はカラヤ族を置いて戦場から撤退した。

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