100ー2
「こう言う事ならあんなに遠回しに言わなければ良いのに」
○○はクスクスと笑いながらお墓を掃除する。
「だって、U主に○○さんの事貸してって言ったら『デートですか?!』とか言うから」
坊っちゃんもクスクスと楽しそうにお墓を掃除する。
「これならみんなで来ても良かったのに」
○○は手を休めずに言う。
「せっかくのデート権だからね。勿体無いでしょ?」
坊っちゃんはにやりと笑った。
「それに、テッドや父さん、マッシュにオデッサさん。他の大勢死んで行った人に会うのに、他の人は何か違うし」
坊っちゃんは苦笑した。
「……そうだね。さあ!頑張って綺麗にしちゃおう!これが終わったらグレミオさんのシチューが待ってるんでしょ?」
○○はにこにこと笑った。
「そうだね!グレミオには悪い事したかな?」
「『ぼっちゃん、私も連れて行ってくださいー』って泣いてたもんね」
坊っちゃんと○○は二人揃って苦笑した。
「うー!!納得出来ない!!」
U主らはレオナに出して貰ったジュースを飲んで泣いていた。
「なんだい、まだ言ってるのかい?」
レオナは呆れた様にキセルをふかした。
「だって!ホイが『最後まで立ってた者が勝ち』って言ってたのに!」
U主はそう泣いた。
「お前さんがまさかナナミの料理のお陰で睡眠薬に耐性があるなんてな」
ビクトールがニヤニヤと笑った。
「ね!?僕はフリックさんやルックと違って起きてたのに!確かにぬすっと茶は飲みましたよ?!飲んだけど!!立ってたのにーー!!!」
U主はしつこくいじけていた。
「はぁ……」
フリックはテーブルの隅でため息をついた。
「今頃○○は何されてるんだろうね」
ルックはジュースを飲みながら呟いた。
「……」
「あれじゃねーか?下着の確認?」
無言のフリックにビクトールがニヤニヤと言う。
「……」
フリックは無言のまま眉間にシワを寄せビクトールを睨み付ける。
「しかし、運関係だとお前ら弱いのな」
ビクトールは笑いながらフリックとルックを見る。
「うるせー」
「うるさいよ」
フリックとルックが同時に唸った。
次の日のお昼頃に○○は坊っちゃんに連れられてアシタノ城に帰って来た。
「ただいま!レオナ!フリックとビクトールはまたお酒?」
○○はにこにことレオナに近付いた。
「お帰り、○○。お泊まりデートはどうだったんだい?」
レオナは艶っぽく笑うとキセルをふかした。
「楽しかったよ!ね?」
「うん」
○○と坊っちゃんはにっこりと笑い合った。
「……」
フリックは眉間にシワを寄せた。
「何して来たんだい?」
レオナはキセルをふかす。
「ん?んー、グレッグミンスター観光はしたよ。さすが詳しかった!」
○○は坊っちゃんとの約束でお墓参りはとりあえずふせる。
「それは良かったね」
レオナはニヤリと笑った。
「うん!私、一度部屋に戻って荷物置いてくる」
○○はくるりと酒場を出る。
「……俺も行く」
フリックは席を立つ。
「あ、フリック!」
「なんだよ?」
坊っちゃんがフリックを呼び止め近付いた。
「花柄だね」
くすりと坊っちゃんは黒い笑みを浮かべた。
「っ!おまっ!」
フリックはカッと顔を赤くして坊っちゃんを睨み付ける。
「ほら、○○行っちゃうよ?」
坊っちゃんはにっこりと笑うと、手を振ってフリックを見送る。
フリックは眉間のシワを濃くして○○を追った。
レオナとビクトールには聞こえていたいので、不思議そうにするが、勘の良いビクトールは少し理解する。
「あんまりフリックを虐めるなよ」
ビクトールは苦笑して坊っちゃんを見る。
「ふふ、虐めてなんてないよ」
坊っちゃんは実に楽しそうに笑った。
「あ、○○は今日来ないと思うよ」
坊っちゃんはレオナににこりと笑った。
「…………さすが解放軍リーダーだね」
レオナは呆れた様にキセルをふかした。
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