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「ねぇ、U主、○○さんを貸してよ」
坊っちゃんはにっこりと笑った。
「○○。お客さんだよ」
「客?」
レオナに呼ばれ酒場の厨房で仕事をしていた○○は不思議そうにホールへと出た。
「あ、坊っちゃんくん!来てたんだ」
○○がU主に連れられてやって来た坊っちゃんを見た。
「うん、そうなんだ。それで」
「僕ら○○さんのデート権をかけて勝負する事になったんだ!」
「ぶっ!」
「勝負?」
近くで酒を飲んでたフリックが吹き出し、○○は不思議そうに2人を見た。
「勝負なんてしなくてもみんなで遊べば良いんじゃない?」
○○はクスクスと笑った。
「違うんだよ、○○」
坊っちゃんがにこりと笑う。
「デート権をかけてだよ!」
U主が力強く言う。
「デート?デートねぇ」
○○はうーんと唸るとチラリとフリックを見る。
「私は別に良いけど?」
○○はにっこりと笑った。
「○○!!」
フリックが怒った様にテーブルを叩いて立ち上がる。
「な、何よフリック?子供の言う事じゃない」
○○は不思議そうにフリックを見る。
「…………うー」
フリックは眉間にシワを寄せ唸る。
「なんなら、フリックも混ざる?まぁ、僕は負けないけどね」
坊っちゃんはにっこりと黒い笑みを浮かべる。
「……挑むところだ!」
フリックは青筋を浮かべて頷いた。
「ガキか?」
「ガキね」
「…………ははは」
ビクトールとレオナは呆れて見て、○○は乾いた笑いをした。
こうして○○とのデート権をかけた戦いが始まった。
「ところで、どうして君もいるんだい、ルック?」
坊っちゃんは不思議そうにルックを見た。
「あんた達に○○を渡したらどうなるか解らないからね」
ルックはしれっと声を出す。
「ふーん、ルックもなかなかムッツリなんだね」
「ふん、そんな軽い挑発に乗るわけないだろ」
ルックは小馬鹿にしたように坊っちゃんを見た。
「お前さんもモテるね」
レオナが面白そうにキセルをふかした。
「あはは、人生最大のモテ期ですね」
○○はクスクスと笑った。
「フリックー、頑張れよー」
ビクトールがニヤニヤと笑っている。
「さあ!かけたかけた!誰に賭けるかい?!一番人気は我が軍リーダーU主だ!!二番人気はトランの英雄坊っちゃん!!風使いルックはその後を続き、大穴狙いは青雷のフリックだ!!!」
シロウが楽しそうに声を張る。
「おいおい、フリックの奴大穴だってよ!」
ビクトールがケラケラと大笑いをする。
「運が低いからねえ」
レオナもクスクスと楽しそうに笑う。
「何だかお祭り騒ぎね」
○○は楽しそうにしている。
「本当に。いつの間にか娯楽になってるね」
レオナはにやりと笑った。
「で?方法はどうするの?」
○○は坊っちゃんを見る。
「そうだね、手っ取り早いのはやっぱり」
坊っちゃんはにっこりと笑って棍を握り締める。
「まぁ、手っ取り早くはあるが……」
フリックは眉間にシワを寄せた。
「余計な戦いはダメだよ!もっと平和的にしようよ」
○○はにっこりと笑う。
「あ、じゃあかくれんぼは?○○が鬼」
U主ははーいと手を挙げた。
「良いけど、U主が一番不利じゃない?」
ルックは興味なさそうに呟く。
「そ、そうだね。私、U主くんを一番に見付ける気がする。で、次ルックくん。その次坊っちゃんくん。で、フリックを見付けるの大変そう」
○○は困った様に笑った。
「え?なんで?」
U主は不思議そうに首を傾げる。
「馬鹿なの?○○は真の紋章が分かるじゃない」
ルックは小馬鹿にした様に言った。
「そう言う事。U主くんは光ってるからすぐに分かるよ」
○○は困った様に笑った。
「なら、最初に見つかった人!」
U主は元気に答える。
「それだと誰も隠れないよ」
坊っちゃんが呆れた様に口を開く。
「……うーん、じゃあどうしようか?」
U主は悩む。
「○○の下着の色で良いじゃねーか」
ビクトールがニヤニヤと声を出す。
「セクハラです!」
○○はビクトールを呆れて見る。
「ピンク!」
U主が声を出す。
「白」
ルックが呟く。
「……黒?」
坊っちゃんも答える。
「……」
フリックは眉間にシワを寄せる。
「フリック、今声出したら喋ってあげない」
○○は慌ててそう釘を刺す。
「…………」
フリックはため息をついた。
「じゃあ、どうするのさ?」
レオナは呆れて声を出す。
「それなら兄弟!良い物があるぜ!」
ホイがニヤニヤと笑いながら現れた。
「なんだい?」
U主はホイを振り返る。
「ここにぬすっと茶ってのがあるんだ。3つはそのぬすっと茶。残りのひとつは普通のお茶だ。普通のお茶、すなわち最後まで立ってた者が勝ちってのはどうだい?」
ホイはニヤニヤと楽しそうに笑った。
「……ぬすっと茶……」
坊っちゃんが嫌そうに顔をしかめた。
「それ面白いね!」
U主はにこりと笑う。
「まぁ、良いんじゃない?」
ルックは頷いた。
「…………まぁ……」
フリックは厳しい顔付きのまま頷いた。
「ぬすっと茶か、嫌な思い出しかないんだけどね」
坊っちゃんも仕方ないと頷いた。
「あ!じゃあ私が混ぜるよ!」
今まで様子を見ていたナナミがお茶の入ったコップを適当に並び替える。
「はい!どれでも好きなの取って!」
ナナミがお盆に乗せたお茶を4人の前に並べた。
4人は各々近くにあるコップを取る。
「はい、じゃあ飲んで!!」
ナナミは楽しそうに声をあげた。
4人はいっせいにお茶を流し込む。
そして
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