君のいる部屋2
「あれ?」
自宅であるマンションの部屋の明かりがついていない事に気が付いた。
「買い物でも行ってるのか?」
シャンクスは少し不思議に思いながら駐車場に車を停めた。
「ただいま」
鍵を開けて中へ入る。
「靴、ないな」
シャンクスは電気のスイッチを手探りで探し、明かりをつけ、廊下を進んだ。
「……は?え?な、なんだ……」
シャンクスは○○の気配のない部屋に呆然と立ち尽くした。
君のいる部屋2
シャンクスはアパートの前に車を停めた。
手には大きめの菓子折りとここの住所が書かれたメモ。
スーツに身を包み、髪の毛を撫で付ける。
「はぁ……」
気が重いとシャンクスはため息をついた。
シャンクスは部屋番号を確認する。
そして、呼び鈴を鳴らした。
ーーピンポーン
「はーい!」
シャンクスの予想に反して若い女性が玄関のドアを開けた。
「□□○○さん?」
「あ、はい」
シャンクスが確認すると女性ーー○○がこくりと頷いた。
「本当に助かったよ。ありがとうございました」
シャンクスは深々と頭を下げる。
「いえ!無事で何よりです。あ、もし良 かったら、お茶でも」
シャンクスは迷いながらも○○の誘いを受けた。
「や!止めてください!貴方が無事で良かったです」
頭を下げ、礼を言うシャンクスに○○がにこりと笑った。
「本当に、お礼の言いようがなく……」
シャンクスは頭を上げる。
「ふふ、これも何かの縁ですよ」
○○はにこにこと嬉しそうに笑った。
(あァ、あの時見た天使はこの子だったのか)
シャンクスは○○の笑顔をじっと見つめた。
「ネクタイをちゃんとしろ。だらしない顔をするな」
ベックマンが厳しい表情でシャンクスを見る。
「大丈夫だよ!新卒間近のガキに世の中の厳しさを教えてやるだけだろ?」
シャンクスはニヤリと笑った。
シャンクス率いる株式会社赤髪の社長面接日だ。
シャンクスはシャツの襟を立てネクタイを結ぶ。
カフスをして、スーツの上着も羽織る。
身だしなみが大切と社長室にある大きな姿見で己の格好を確認する。
「なら、良いが」
ベックマンはやれやれと紫煙を吐き出す。
「俺は人を見る目はあるつもりだが?」
シャンクスがベックマンを指差す。
「……それは期待する」
満更でもないベックマンだが、表情には一切出さない。
「お頭ー、そろそろ時間だ」
ノックなしで入って来たのは幹部のヤソップ。
「お前なァ、ノックぐらいしろよな」
シャンクスが笑いながら言う。
「今更隠すモンもねェだろ?」
ヤソップがケラケラと笑う。
「あれだ、女連れ込んでたらどうすんだよ?」
「ベンがか?」
シャンクスの言葉にヤソップがベックマンを指差す。
「そりゃ!!大事件だ!!!」
「だろ?!」
シャンクスとヤソップがゲラゲラとバカ笑いをする。
「お前ら!とっとと準備しろ!!!」
ベックマンが煙草を持った手を2人に掲げる。
「ちょっ!ベック!!洒落にならねェ!!」
「お、落ち着け!!ベン!!!」
シャンクスとヤソップが慌てて声をあげる。
「なら、さっさと準備しろ!!!」
「「イエッサー!!!」」
ベックマンの怒号でシャンクスとヤソップが敬礼をする。
「はぁ、たいした奴いねェなァ」
面接日人数も半分辺りでシャンクスがポツリと呟いた。
「どんな奴がたいした奴なんだよ?」
ヤソップがシャンクスに聞く。
「そうだなァ。例えば『俺がこの会社を乗っ取る!!』とか?」
シャンクスが楽しそうに笑った。
「そりゃ!たいした奴だ!!」
ヤソップが楽しそうに笑った。
「おーい、次の奴呼ぶぞ?」
ルゥがドアを開けた。
「おゥ!呼んでくれ」
シャンクスがお茶で喉を湿らせてから言う。
「失礼します」
入って来たのは女だった。
「ーー大学から来ました□□○○です」
そう頭を下げたのは、先日会った命の恩人だった。
シャンクスは思わずあんぐりと口を開けて○○を凝視した。
ベックマンとヤソップで色々と質問をしていく。
その間、シャンクスは間の抜けた顔で○○を見ていた。
「社長、何かないのか?」
ベックマンがため息混じりに言う。
その言葉と共に○○はシャンクスをにこりと見る。
「あァ」
シャンクスはにかりと楽しそうに笑った。
「採用で!!!」
「馬鹿か!!!」
シャンクスの言葉にヤソップがゲラゲラと笑った。