君のいる部屋9


「わかった」

ため息と共に吐き出されたシャンクスの言葉に○○は驚いてシャンクスを見上げた。

「シャンクス!」

「その代わり!俺も○○の住んでる部屋に行く」

シャンクスはニヤリと笑った。






君のいる部屋9








「…………ねぇ、本当に帰らなくて良いの?」

○○は自分で借りているアパートの玄関先でシャンクスを振り返る。
深夜なので声は小さくだ。

「○○がいねェなら、どこだろうと同じだ」

シャンクスがしれっとそう言った。
○○は思わず顔を赤くする。

「あ、じゃあちょっと待ってて?」

ドアの鍵を開けて○○がシャンクスに言う。

「…………お前、まさか男がいるのか?」

「は?」

シャンクスの低い声に驚いて振り返る。

「今から男逃がすってんなら、止めておけ」

「しゃ、シャンクス?」

見た事の無いシャンクスの怒りの表情に○○は戸惑う。

「い、いないよ!この半年……ってか、もっと前からだけど、シャンクスともしてないもん!」

○○は誤解されて悔しいのか、そうシャンクスを睨み付けた。

「そうか。なら、」

シャンクスが玄関ドアと自分との間に○○を閉じ込めた。

「今すぐここで犯されるのと、すぐに中に入るのならどっちが良い?」

ぞくりとするシャンクスの眼に睨まれ、○○は体の中が熱くなるのを感じた。

「……き、汚いよ?知らないよ?げ、幻滅する」

「んじゃ、ここで」

「どうぞ」

○○は諦めてドアを開けた。

○○に続いてシャンクスが中に入ると、そこは紛れもない○○の部屋であった。

「昼間も夜も仕事してるから、本当に汚いんだけど」

○○は恥ずかしそう言いながら広くないリビングにシャンクスを通した。

「えっと、何か飲む?」

「あァ、熱いお茶」

「ほうじ茶で良い?」

「あァ」

シャンクスはローテーブルの前に座った。

初めて○○の部屋に言った時を思い出した。

本当はあの時、命の恩人と言うものに会いたくなかった。

他人に命を握られたみたいで嫌だったからだ。

だが、今なら○○になら命を握られてみたいと改めて思った。

「はい、ほうじ茶。そう言えばシャンクスさっきもお店でお酒飲んで無かったよね?」

○○は不思議そうに言う。

「あれ?でも、最初に頼んでたか」

○○は美しい女の顔を思い出した。

「いや、あれもシラパが飲んだ」

シャンクスはほうじ茶に手を出した。

「ふーん。シラパさんって言うんだ」

○○はぽつりと呟いてほうじ茶を冷ますために息を吹き掛ける。

「あんなのに嫉妬すんな」

シャンクスはニヤリと笑った。

「し、嫉妬!…………するよ、仕方無いでしょ」

○○は赤い顔をしてそっぽを向く。

「あァ、可愛いな」

シャンクスは右手で○○の髪を撫でた。

「…………」

「お前がいない間、酒も飲んでないよ」

「は?女より大好きなお酒を?!」

シャンクスの言葉に○○は驚いて声をあげる。

「お前は俺を何だと……」

げんなりとした顔でシャンクスは○○を見る。

「だ、だって!どこか体壊したの?」

「いや。お前がいなくなってすぐの時は酒ばっか飲んでた。だがな。それだと意識が保てねェ。○○、お前を見つける為に止めたんだ」

シャンクスは真っ直ぐ○○の目を見た。

「……シャンクス」

○○は心臓がギュッと締め付けられる様だった。

「ここは、間違いなく○○の部屋だな」

シャンクスは部屋を見回した。

「○○の物で溢れてる。何よりも○○がいる」

シャンクスは○○を抱き寄せた。

「もう、耐えるのはここまでだ」

シャンクスはそう言いながら○○をその場に押し倒した。









次の日の夜。

「え?しゃ、シャンクスどうしたの?」

「何がだ?」

「いや、何がって、その荷物」

○○が指摘したのはシャンクスが大きなトランクをひとつゴロゴロと持ってきたのだ。

「着替えとか、仕事用のノーパソとか」

シャンクスがにかりと笑った。

「え?は?シャンクス、もしかしてここに住む気?」

○○は呆然とシャンクスを指差す。

「当たり前だろ?やっと想いが通じたんだ!何で離さなきゃいけないんだよ!」

シャンクスはムッとした表情で強く言う。

「しゃ、シャンクス」

○○の胸はジーンと温かくなるのを感じた。



シャンクスは○○の許可を貰うと嬉々として○○のいる部屋に自分の場所を作り始めた。

「シャンクスって、意外に強引な所もあるんだね」

不思議そうにシャンクスの背中に話しかける。

「あ?そうか?いや、俺はかなり強引だぞ?」

シャンクスは一度決めたら曲げない自分の性格をちゃんとわかっていた。

「え?そうなの」

○○はまたしても不思議そうに言う。

「だって、付き合ったのも、結婚したのも、そ、その、キスとか、その先も……それに子供が欲しいって言うのもいつも私からじゃない?」

○○は恥ずかしいがここは聞いておかねばと意を決した。

「だ、だから、もしかしてシャンクスってそう言うの嫌いなのかなぁって思ってた」

○○の言葉にシャンクスは立ち上がり○○に近付いた。

「だから、お前は甘いんだよ」

「な、何が」

シャンクスの言葉が訳がわからず聞き返す。

シャンクスは何も言わないまま○○に口付ける。

「っ?!んふ」

○○の唇を吸い上げ、口が開いた隙に自分の舌を無理矢理入れる。

「ふぁっ」

反射的に嫌がる○○の腰に腕を回し、強引に引き寄せる。

「しゃ、」

何かを言いたがる○○の唇を角度を何度も変えて堪能する。
飲み切れない唾液が○○の唇の端から垂れ始めるが、一向に終わりを迎えない。



「ふっはぁ」

「はぁ、はぁ、はぁ」

ようやくシャンクスに解放された時は、自分の力で立っていられない程○○はシャンクスに酔わされていた。

「わかるか?俺からやっちまえばこうだ。これで軽い方だぜ?」

シャンクスは熱の籠った目で○○を見下ろした。

「どこでもする。駅だろうが、人前だろうが、我慢なんか出来ねェよ。セックスだって同じだ。お前が嫌だと言っても、生理だろうが、気を失おうが俺は我慢なんか出来ねェ」

シャンクスは真剣な顔で○○を射抜く。

「俺は○○が思ってる様な紳士的でも出来た人間でもねェんだよ」

シャンクスは少し拗ねた様に声を出した。

「…………それでも」

「ん?」

「それでも良いから愛情が欲しかったんだよ、私」

○○は自分も熱くなった体に正直に答えた。

「キャッ!!」

突然の浮遊感と、背中に当たる柔らかい感覚、そしてまた苦しくなる息。

「っもう、勘弁してくれよ」

唇をくっ付けたままシャンクスが声を出す。

「悪いが俺は、もう自分が制御出来ねェ」

獣の様な目でシャンクスに見下ろされ、ぞくりと背中が震えた。

「うん。シャンクス、大好き」

○○は早くシャンクスが欲しいと、シャンクスの首に抱き付いた。



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