03

俺はストライカーに乗り、本船を離れ逆走をしていた。

火力は最大、スピードは最高速度。

ストライカーが壊れなきゃ、それで良いと思うほどのスピードだった。






休みなく飛ばしまくって前のユニが降りたと言う島にやって来た。

ストライカーをその辺に縛り付け、足早に島を歩く。


「おい!」

「ひ、ひぃぃぃぃ!!!お助けー!」

どうやら凄い顔をしていたらしい俺は島民怯えられた。
だが、そんな事を気にする余裕なんざねェ。

「この前ここで一人の女が降りただろう?どこにいる?!」

「あああああ、あっち」

男は震える手で指差した。

「そうか!」

俺は男を解放するとそちらの方へと走り出す。



何人かに聞いて、やっと一軒の家にたどり着いた。



ーードンドン




「はーい!」

乱暴に戸を叩くと聞きたかった声が聞こえて来た。



ーーガチャリ



「…………?!」

「よう」

俺の顔を見て固まるユニ。

「その、なんだ。話がしたくて……、っておい!!!」

俺の話を聞かずにユニは家の中へと走り出す。

俺は閉められそうになったドアに足を挟み込み、無理矢理開け後を追う。

ユニは裏口から外に出た。
俺もそこから出て、ユニの背を追う。


「待て!ユニ!!お前、そんなに走ったら!!」

俺はユニの中にガキがいるのを思い出し、慌てて声をかける。

「もう!良いの!!」

ユニは叫んできた。

「何が良いんだよ!!俺が困るだろ?!」

「何でよ!!エース隊長はいらないんでしょ?!丁度良いじゃない!!」

「何が丁度良いんだよ!!!」

ユニの言葉に完全に頭に来た。


俺とのガキだろ?


確かにあの時は邪魔だと言ったが、今は違う。

「お前の腹の中に俺とのガキがいるなら俺が守り育てるのが筋ってもんだろ?!」

俺の言葉にユニは驚いた。

その隙に距離を一気に積める。


「きゃっ!!」

「っ捕まえたぁ!!!」

がしりと俺はユニの手を掴んだ。

「は、離してよ!」

「何でだよ?!」

俺はイライラと聞く。

「筋とか、責任とかいらない!」

ユニはそう叫ぶ。

「俺はユニがいなきゃダメだ」

俺の低い声にユニがぴくりと反応する。

「お前と一緒にいられるんなら、そいつごと俺はお前を守る。お前が俺から離れないなら、俺はお前もガキも愛せる」

「っ!!!」

「頼む。俺と一緒に帰ろう」

「っうん」

ユニは嬉しそうに泣きながら頷いた。








ストライカーでモディービック号に戻る時にユニが恥ずかしそうに声を出した。


「エース隊長」

「ん?」

「あ、あのね」

「なんだよ」

なかなか言い出さないユニを不思議に思い、ストライカーを止める。

「あ、の、赤ちゃん……なんだけど」

「あァ、心配しなくても、船医もいるから」

「じゃ、なくてね。…………いないの」

「は?え?走ったからか?!」

俺は慌てた声が出た。

「じゃ、なくてね。ただ生理が遅れてただけだったの」

「っ!……」

「あ、安心、した?」

ユニは恐る恐る俺を見る。

「いや、残念だな」

俺はユニを安心させようとニヤリと笑った。










「おー!!帰って来たぞ!!」

「ユニー!!」

「お帰りー!!」

「ただいまー!」

ユニは嬉しそうに手を振った。

「元気な子産めよ!!」

「甥っ子かな?姪っ子かなー?」

クルー達は嬉しそうに船上から手を振る。

「っ!ど、どうしよう?エース隊長」

ユニはおろおろと困った顔をする。

「なら、仕方ねェだろ?作るか」

俺がニヤリと笑うとユニは恥ずかしそうにドンッと俺を押す。

「「「あー!!!エース!!!」」」





愛する君と




沈んでいく俺にユニの他にも沢山の手が差し出され、苦しいながらも何だか幸せに思っちまった俺がいた。

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