君達を見て

我らがお頭は株式会社赤髪のトップにして、世界でも4本の指に入るほどの男だ。

そのお頭が結婚をした。

俺達古くから付き合ってる幹部には知らされたが、センゴクの策にはまり結婚をした。

まァ、今では何だかんだとラブラブらしい。


その相手もなかなか面白い女で、この会社をわずか1日で首になった強者だ。

まァ、首になったのは他でもねェお頭のせいなんだけどな。



そう言や、ドフラミンゴの野郎に拐われた飛鳥とエースを迎えに言ったのはお頭と俺なんだがな。

俺はヤソップ。

愛する妻には先立たれたが、息子と2人暮らしだ。

は?助けに行った時の車は無事かって?

知らねェ。

あれは俺のじゃねェからな。
その辺にあったドフラミンゴの会社のワゴンだろ?
乗り捨てたしな。

は?鍵?

んなもんなくても車はいくらでも動かせるってもんだぜ?







「何だよ、お頭。またケータイいじってんのか?」

俺は少し呆れながら声を出す。
結婚してからか?こんなに携帯を使いだしたのは。

前は仕事中は携帯をいじる事もしなかったのにな。

いや、ルフィからの電話とかはあったが、女からの電話にゃ出なかったし。
そもそも、メールなんてしなかった男なのにな。

「あァ……」

お頭は携帯に集中してか、気のない返事だ。


いや、集中し過ぎだろ?


「嫁さんか?」

「あァ……」

「『貴方!大嫌いって?』」

「…………あァ」

「『もー!離婚よ』ってか?」

「んな訳ねェだろ!!間違えちまったじゃねェか!!!」

叫ぶお頭に俺は思いきり笑ってやった。

俺の反応が気に食わなかったらしく、舌打ちをしやがったよ。

「で?なんだって?」

俺は笑い過ぎて涙が出てきたのを拭いた。

「今日の夕飯はカレーだからお昼はカレー食べるなってさ」

「新婚かっ!!!」

「そうだよ!!」

余りの内容のないメールに俺はつい突っ込んだ。


そうか、そうだな。


「しかし、なんだ?その締まりのねェ顔は!!」

俺はお頭の鼻を思いきり摘まんでやる。

「痛ェ!!!何しやがる!!」

お頭は嫌そうに俺の手を弾いた。

「天下の赤髪さんが、女にデレデレなのが可笑しくてな」

ニヤニヤと笑ってやる。

「悪ィか?」

「いんや、良いじゃねェか」

睨むように俺の顔を見るお頭に俺は笑った。

「愛する女の一人も守れねェ様な男に俺の上に立って欲しくねェもんだ」

「ヤソップ……」

俺の言葉に驚いた顔をするお頭。

「で?あのドフラミンゴや赤髪シャンクスなんて大物を次々に虜にしちまう飛鳥ってのはどんな具合なんだ?」

「あァん?!」

俺の言葉に怒気を孕んだ声を出す。

「だってそうだろ?気になるだろ?床じょう」

「うらぁ!!!」

俺はもちろん最後まで言葉を出せずにいた。

「痛ェ!!!」

「お前が馬鹿な事言うからだろ?」

蹴られた顔を押さえながら叫ぶ俺にお頭は怒ったまま踵を返した。

「お頭!!」

「あん?!」









「幸せか?」








俺の問いにお頭は笑顔で答えた。

ったく、イイ年したおっさんがデレデレしやがってよ!

既婚者の先輩として嬉しい限りだぜ!

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