02

「た、たたたたた大変だぁ!!!!」

男が叫びながら村を駆け抜ける。

「何があったのかしら?」

マユは不思議そうにレストランの外を窓から見る。

そこから微かに見える海岸線には見た事のないほどの大きな船が停まっていた。

「大きい!ここから見えるってどれだけ大きいのかしら?」

マユは興味深そうに見る。

「おーい!マユちゃん注文!」

「あ、はーい!」

お客さんに言われてマユは慌ててメモを持つ。





忙しいお昼時を過ぎれば閑散とするレストラン。

「はぁ、のんびりー」

マユは大きく伸びをする。



ーーカララーン



「いらっしゃい………………ませ」

マユは笑顔で振り返り、そのまま固まった。

「酒はあるかい?」

そこにはマユに海賊の恐ろしさを植え付けた男を筆頭に大人数の男達がいた。








レストランはあっという間に海賊達の溜まり場になっていた。

「姉ちゃん酒!」

「は、はい!」

「これ旨いな!おかわり!!」

「え?どれ?」

「この皿に乗ってやつだ」

「あ、はい!」

マユは慌ただしく一人で働いていた。

閑散時だったのと、白髭海賊団を怖がったのでホールにはマユ一人しかいなかった。



敵に対しては容赦なく叩きのめすが、敵以外には意外と常識的態度を取る海賊達の様だ。
マユは怖がる事もなく働いた。

「酒、おかわり」

「っ!!!……は、はい」

しかし、やはり不死鳥マルコにだけは体が嫌でもビクビクと反応した。





食事が一段落するとそのまま宴の様になる。

「酒が旨いな!」

男達は騒いでいた。
他の客は怖がって寄り付かない。
従業員さえも怖がって近寄らなかった。

「おかわりィ!!!」

「はーい!」

マユはすっかりこの賑わいに慣れていた。

「お姉ちゃん可愛いな」

海賊の一人がするりとマユの尻を撫でる。

「っ!!嫌ぁ!!!」



ーードカッ!!




「……」

「……」

「……」




ーーやってしまった。




思わず撫でられた尻が気持ち悪くてマユは撫でた男に回し蹴りを決めてしまった。

辺りはシーンと一気に静まり返る。

「………………ぷっ」

「だはははは!!お前ダセェ!!!」

「女に蹴り食らって飛ばされてるぜ!!!」

海賊達はいっせいに笑い出した。

「姉ちゃんカッコイイな!!」

海賊達はマユを振り返る。

「な、何言ってるの!そう言う事したければそう言うお店に行って下さい!」

マユは怒った様に言う。

「そりゃそうだよい。行くぞ」

いつの間にか近くにいたマルコが何人かの海賊を引き連れる。

「ずいぶん魅力のある女になったじゃねェかよい」

ニヤリとマユの耳元で彼女にだけ聞こえる声で言う。

その声にぞくりと背中を震わせた。




ーー覚えてる。




マルコが確実に自分の事を覚えている事に何故か胸が高鳴る。

ニヤリと笑う顔に妙な色気を見た気がした。



「隊長が娼館に行くの珍しいですね!!」

「たまには、ねい」

マルコのニヤリと笑う顔に胸の中が気持ち悪くなるのを感じた。

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