02
「エース!ここ!このお店だよ」
アミは嬉しそうにエースの手を引く。
「おう」
エースはアミの嬉しそうな顔を穏やかに見つめる。
店の中は女の子が好きそうな物が並ぶ雑貨屋さん。
「何か欲しい物があるのか?」
エースは棚を眺めながら聞く。
「うん!エースとお揃いで欲しくて」
アミは目的の場所までエースの手を引く。
「あった!これこれ」
「…………」
アミが嬉しそうにその場所を見つめる。
そこはペアリングが並んでいるコーナーだ。
「ねぇ、エースはどういうのが良いかな?」
アミはキラキラとした目でエースを見上げる。
「…………」
エースは驚いた表情のまま立ち尽くす。
「…………エース?」
「っ!あ、悪ィ」
名を呼ばれ、エースは慌てて反応する。
「…………嫌?」
「は?」
「ごめんね、突然」
アミは困った顔をする。
「…………いや」
「…………。エース、少し疲れたね。ちょっと、休憩しようか?」
アミはエースの手を引いて店の外に出て、ファーストフード店に入った。
「で?何で急に」
エースは紙コップに入ったコーラをストローで吸う。
「あのね、私」
アミは同じようにオレンジジュースを飲む。
「エースとの目に見える約束が欲しかったんだ」
アミは困った様に笑う。
「……目に見える?」
「うん」
アミは頷いた。
「エースと一緒にいるの楽しいの。私だって今すぐにでもエースとその、け、結婚したいよ?」
「なら」
「でも、やっぱりそれじゃあダメなの。ちゃんと自分で自立してからじゃないと!」
アミの声に面白くなさそうにするエース。
「でもね、いつもエースが私と結婚したいって言ってくれるから、とうとう見ちゃったの」
「何を?」
「夢」
「夢?!」
エースは驚いて声を出す。
「うん。エースとね、結婚式を挙げるの!でもね、すぐ目が覚めて」
「同じだ」
「え?」
アミの言葉にエースはポツリと声を出す。
「俺も見た。郊外の教会で挙げるんだ」
「そうそう!」
アミが驚いて頷いた。
「それでね、私何だか焦っちゃって」
「焦る?」
「うん。このまま卒業まで待ってる間にもしもエースが他の人を好きに」
「なるはずねェだろ?!」
エースは少し怒った様に言う。
「…………もしもだよ」
「もしもなんてねェ」
エースが軽くアミを睨み付ける。
「あ、ありがとう」
アミは困った様に、しかし嬉しそうに照れていた。
「そう思うほどにね、私エースが好きなの」
アミはにっこりと笑う。
「……それなら俺も同じだ」
エースはじっとアミを見る。
「同じ?」
「お前がいつ俺から離れちまうか?」
「そ、そんな事ある訳ない!!」
アミは心外だと言わんばかりに声を出す。
「お前が先に言ったんだぞ?」
「ご、ごめんね」
エースの言葉にしゅんとなるアミ。
「でも、それでペアリングか。なるほどな」
エースはストローをかじる。
「うん。エースとお揃いで!」
アミはにこりと笑った。
「そうだな。よし!買いに行くか」
「うん!」
アミは嬉しそうに頷いた。
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