01

エースの目の前には十字架。

希望したのはアミ。

都会の喧騒を離れた郊外の結婚式場の教会。

エースは緊張した面持ちで扉を見つめていた。


バージンロードの両側にはエース達を祝福しようと詰めかけた沢山の仲間や家族達。


扉が開かれ、教会の中に光が射し込む。

真っ白なウェディングドレス、ロングベール。
これはエースの希望したもの。


アミは彼女の父親に手を引かれ、入って来る。

あまりの綺麗さにエースの心臓はドキドキと高鳴る。

「娘を宜しく頼むよ」

「任せてください」

アミの手を差し出しながら彼女の父親は言った。

そして、彼女の手を取ろうとしたまさにその時


「エース!起きろ!」

今まで席に大人しく座っていたエースの弟ルフィが近くに立っていた。

「は?何言ってんだよ、ルフィ!早く席に着けって!」

エースは慌ててルフィに言う。

「朝飯冷めるぞ!」

ルフィはなおも言葉を続けた。

「お、おい!」

エースは慌ててルフィを追いやろうと手を伸ばす。










ーーピピピピ



目覚まし時計の機械音。

「おーい!エース!まだ寝てるのかァ?!」

目の前には弟の顔。

「うおっ!?………………夢?」

エースは体を起こしてキョロキョロと辺りを見回す。

そこは教会などではなく、見慣れたエースの部屋。

「寝ぼけてんのか?早く起きろよ!」

ルフィは笑いながら部屋を出て行った。

「…………そうか、夢、か」

エースはがっくりと項垂れた。





「っ!?つーか、早く起こせよ!!」

「いてェ!!!俺は起こしたぞ!!!」

「早く2人とも支度せんか!!!」

「「いてェ!!!」」





慌ただしく家を出て、エースは大学へと向かった。

「……なんつー顔してんだよ」

「お前には言われたかねェよ、万年隈やろう」

「はっ!言いやがる」

エースの言葉にローは鼻を鳴らした。

「夢見が」

「悪かったのか?」

「……いや、良かった」

エースはため息混じりに夢を思い出す。


真っ白なウェディングに上品な化粧を施したアミの普段見る事がない姿にエースはニヤリと口許を緩める。


「思い出し笑いか?」

かりかりとシャーペンを動かす手を止めてキッドが顔をあげる。

「うるせェ、お前は勉強でもしてろ」

エースは片手に顎を乗せキッドを見る。







「エース!」

授業が終わり、アミがやって来た。

「おアミ」

「よう、アミ」

「こんにちは、ロー君、キッド君!相変わらず仲良しだね」

ローとキッドに挨拶するアミ。

「止めろ、こんな野郎と仲間なんて思われたら迷惑だ」

「あァん?!そりゃこっちの台詞だ!!!」

ローのうんざりした顔にキッドが胸ぐらを掴みながら怒鳴る。

「ふふ、息ぴったり!」

「「ふざけんな!」」

目付きりの悪い2人の男に睨まれてもすっかり平気になったアミ。

「アミ」

「エース!」

名前を呼ばれて嬉しそうに振り返る。

「ん?どうしたの?どこか調子悪いの?」

アミが心配そうにエースを見上げる。

「いや、そう言う訳じゃねェよ」

「…………本当に?調子悪いなら今日は止めておく?」

「だから、大丈夫だって。それに行きたい所あるんだろ?」

「うん。……なら良いけど」

アミは腑に落ちないと言った顔だ。

「じゃあな」

エースはローとキッドに手をあげるとアミを引き連れて外へと出て行った。







「何なんだ?あいつ」

「マリッジブルーって奴か?」

「は?まだ先だろ?」

「意外に繊細なんだな」

「それマジ受ける」

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