03

体を洗い終わると、ゆっくりと湯船に入る。

お湯は熱過ぎず、ぬる過ぎず丁度良い湯加減だった。

「気持ち良いですね」

体を隠すように肩まで入る。

「だろ?圧巻だよな」

シャンクスはにかりと笑った。

「はい!ありがとうございます」

「いえいえ、奥さんの為ならば」

シャンクスは恭しく頭を下げる。

ハルはおかしそうに笑う。

「頑張った夫にご褒美くれるか?」

「ご褒美?」

シャンクスの笑顔にハルが不思議そうに返す。

「あァ、あっち向いて」

「こう?」

シャンクスに背を向ける。

「っ!!」

「これくらい良いだろ?」

シャンクスに後ろから抱き締められる。

「う……ん」

ハルは小さく頷いた。

「照れてるのか?せっかくの白い肌がピンクだな」

シャンクスは目の前にあるハルの肩を撫でる。

「っ!!」

ぞくりとする感覚に未だに慣れず、ハルは震える。

「綺麗だな」

シャンクスがそっとタオルをずらし、背中を撫でる。

「…………綺麗じゃない、です」

ハルの声が少し低くなる。

「……ハル?」

シャンクスは不思議そうにハルの様子を伺う。

「私は綺麗なんかじゃないんです」

辛そうに吐き出される言葉の意味に気付き、シャンクスはギュッとハルを抱き締める。

「そんな事ねェ」

「あるんです」

ハルはやんわりとシャンクスの手を離れ、向かい合う。

そして、おもむろにタオルをずらす。

「ほら、まだ消えない」

普段は服で隠された場所に残る傷。
ナイフなどの鋭利な刃物で切られた痕。煙草などの火を押し付けられたかの様な痕。

すでに消えかかっているが、まだそれは消えずにある。

普段は暗い寝室なので、あまり気にならない(様にしている)が、シャンクスに指摘される前に自分から言おうとハルは決意した。

「ハル。無理するな」

シャンクスは心配そうに、しかし真剣にハルを見る。

普段、暗いながらもそれらの傷にシャンクスは気付いていた。
それを見るたびに元夫への怒りが込み上げていた。

「これなんて、普段吸わない煙草をわざわざ吸って……」

「もう、良い」

シャンクスがギュッとハルを抱き締める。

「それでもハルは綺麗だよ」

シャンクスは優しく、ちゃんと伝わる様に言葉をはっきりと発した。

「…………あ、ありがとうございます」

ハルはシャンクスを抱き返す。

「………………やべえ」

シャンクスがぽつりと声を出す。

「どうしました?」

ハルはキョトンとシャンクスを見る。

「んん!」

シャンクスはハルに口付ける。
とっさに離れようとしたが、シャンクスの手によってく叶わない。

「しゃ、くす、さん」

シャンクスの口付けが徐々に下へと向かう。
いつの間にか膝の上に乗せられ、水面から上半身が出ていた。

それを寒く感じるどころか、どんどんと熱くなる。

「っや、め」

止めてと声もちゃんと出ないほど煽られる。

「っはぁ、相変わらず良い声だな」

シャンクスはにやりと下から見上げる。

「そ、そんな事!」

ハルはいつもより顔を赤くする。

シャンクスはするりとハルの体を隠すバスタオルを外す。

「この体が綺麗じゃなかったら、それは俺のせいだな」

ニヤリとシャンクスは楽しそうに笑いながら、ハルの胸元に唇を滑らせる。

「んっ……」

ハルの声を我慢する。

「こら、我慢するなよ」

シャンクスがニヤリと笑い手を下の方へと動かす。

「っ!しゃんくすさん……だめ」

辛そうになるハルの声。

「ん?お、おい!ハル?!」

「の、のぼせ……る……」

ハルはそのままぐったりとシャンクスにもたれ掛かった。

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