04

次の日の6時限目。



(今日は平和だなぁ)

カナは数学の授業を受けながら思う。

(一昨日のトラファルガー君も昨日のポートガス君もおかしかったな。でも、次の日は何事も無かった様にするんだもん)

カナはもんもんとしていた。




ーーキーンコーンカーンコーン




チャイムと同時に授業が終わる。

マルコが教室を後にすると、少ししてから担任のシャンクスが入って来て、帰りの会も終わる。

「なァ、カナ」

「ん?」

鞄を持って立ち上がろうとした所に声をかけられる。
振り返ると赤毛のガリ勉不良、キッドが立っていた。

「ここさ、マルコの説明じゃ解らなくてさ」

教科書と参考書を持っていた。

「あ、どれ?」

カナが教科書を覗き込む。

「カナ!!部活行くよ!」

友達がいつもの様に声をかけてくる。

「あ、先行ってて!」

「わかった!」

カナはそう言うと鞄を置いた。

「……良いのか?」

キッドはカナに聞く。

「うん。今日、顧問の先生いないから」

カナは椅子を持ってキッドの席まで行く。











「で、これが、ここにかかるの」

「おォ!なるほどな!」

何問もの難題を2人で解いていく。

窓の外はすっかり夕方になり、教室には他に生徒はいない。

「お前、教え方上手いな」

「ほ、本当?」

カナは嬉しそうにキッドを見上げる。

「あァ、今まで会った先公は何だったのかってくらいにな」

キッドはにやりと笑う。

「え、えへ!ありがとう」

カナは照れた様に笑う。

「あ、あのね。私、数学の先生になりたいの」

カナはぽつりと呟いた。

「合ってるよ」

「え?ほ、本当?」

「あァ、お前みたいな先公だったら、学校も楽しいだろうよ」

キッドはじっとカナを見詰める。

「あ、ありがとう!」

カナは嬉しそうに頬を染めて笑った。

「カナ!俺は」






ーーガラッ




キッドが意を決して言葉を出そうとした時に教室の扉が開いた。

「よう、ユースタス屋」

「暇そうだな!キッド!」

ローとエースが入って来た。

「なっ!!今日はテメェ等邪魔しねェはずだろ?!」

2人の登場にキッドは怒りを露にした。

「あー。あァ、あれな。止めた」

「はぁ?!」

ローの言葉にキッドが苛立たしげに叫ぶ。

「だってよ、俺達告白もする前に邪魔が入ったんだぜ?フェアじゃねェだろ?」

エースがにやりと笑う。

「っざけんな!!!」

キッドが2人に殴りかかり、2人も応戦し、大乱闘に発展する。

「え?え?えぇ?!」

それに驚いたのはカナ。
突然目の前でクラスメイト。
しかも学校1の不良と名高い3人が取っ組み合いの喧嘩など始めたら、それは驚く。

「テメェがだらだらしてるから悪ィんだろ?!」

「うるせェ!!!」

「テメェは手が速すぎなんだよ!!!」

「ヤってなんぼだろ?!」

「お前なんかガリ勉の癖に!」

「関係ねェだろ?!」





低レベルの言い争い。
高レベルの殴り合い。





カナは訳が解らずに職員室まで走った。

「だ、誰か!」

ガラリと乱暴に職員室のドアを開ける。

「どうしたァ?」

担任のシャンクスが呑気に答える。

「せ、先生!!!」

カナは泣きそうな顔でシャンクスに事情を説明する。












「お前ら俺の生徒を泣かすな!!!」

「「「ズミマゼンデジダ」」」

シャンクスの拳骨をくらい、3人共頭を腫れさせ、正座させられ謝る。


すでにカナはシャンクスにより帰されていた。


「……はぁ」

「俺達なにやってんだかな」

「そりゃ、お前だけだろ」

「何を?!」

「止めろよ、みっともねェ」

「……」

「……」

3人は喧嘩で出来た怪我を治療してもらい、シャンクスに作られたコブをそのままに太陽の沈んだ道をとぼとぼと歩いていた。

「あれだな」

「なんだ?」

「俺達に協定なんざ、合わなかったな」

「……」

「……だな」

エースの言葉にキッドが頷く。

「やっぱりそんなオシトヤカなやり方は似合わねェな」

にやりとキッドが笑う。

「奪い合いか、悪くねェな」

ローもにやりと笑う。

「その方が俺達らしくて良いな!」

エースまでもがにやりと笑って頷いた。









そんな君を誘って










「もう、お互い遠慮なんざしねェ」

「へ?」

「俺達はお前が好きだ」

「は?!」

「逃がさねェから覚悟しろよ!」

「っ!!!」




(何か大変な人達に好かれた!!!)

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