02

次の日の朝、カナが駅から歩いていると、声を掛けられた。

「カナ」

「あ!トラファルガー君。おはよう」

「あァ」

カナが挨拶をすると、眠そうにも取れる声が返って来た。

それはそうだ。
カナは週に3日ある朝練の日なのだ。
朝早い駅は人もまばらで、いつも遅刻ギリギリのローがこんな早くに駅にいる事の方が稀である。

「トラファルガー君も朝練?」

カナとローは学校へと歩き出す。

「いや」

ローはダルそうに首を左右に振る。

「??何か用事でもあったの?」

カナは不思議そうに隣のローを見上げた。

「いや、ただカナと一緒に歩いてみたくてな」

ローはにやりと笑った。

その笑顔にカナはカーッと頬を赤く染め、慌てて顔を差向ける。

「なっ、そ、」

「顔、真っ赤だぞ」

「っ!!!」

「可愛いな」

ローはぷにぷにとカナの赤く染まった頬をつつく。

「な、何言ってるの。……か、からかわないでよ、慣れてないんだから」

カナはパタパタと手で自分の顔を大袈裟に扇ぐ。

「くくくっ」

ローは溜まらず笑い出す。

「っ!もー!笑わないでよ!」

カナはローに向かって拗ねた様に言う。

「くくくっ。悪ィ」

ローはにこりと笑うとカナの頭を撫でた。

「…………トラファルガー君?どうしたの?」

急に真剣な顔になったローを不安そうに見上げる。

「…………いや」

ローは手を引っ込める。

「?」

「ほら、部室あっちだろ」

学校へと着き、ローが部室のある方を指差す。

「え?うん。それじゃ」

カナは怪訝に思いながらもローと別れて部室へと足を向けた。







朝練が終わり、教室に行っても授業を受けていてもいつもと変わらないロー。
それを不思議そうに何回もチラチラと盗み見るカナ。




実はすでにローの作戦は始まっていた。



「いつもと様子が違うクラスメイト大作戦」



朝一で思わせ振りな態度を取っておいて、その後は普通。
それを気にして1日中カナの頭の中をローでいっぱいにし、放課後に告白!

そんな作戦を立てていた。

実際、カナはチラチラとローを盗み見ているので、作戦は順調に進んでいた。



休み時間などにはさり気無く近付いて、わざとぶつかる。

「あ!ご、ごめんね。トラファルガー君!」

カナが慌てて謝った所に

「…………いや、大丈夫だ」

真剣な顔でじっとカナの顔を見てから、フイと頬を赤く染め目をそらす。

「…………と、トラファルガー……君?」

カナが心配そうにさらに近付くのでその手を取る。

「…………悪ィ」

真剣な顔の後に、にこりと微笑む。

「っ!!!」

その笑顔にくらりと頬を染めるカナ。


(よし。カナの様子を見てたら満更でもねェな)

ローは一人、ほくそ笑む。







しかし






「カナ、放課後だが……」

ローがカナに近付き声をかける。

「あ!今日はこれから家の用事なんだ!帰らなきゃ!」

ごめんね!と爽やかな笑顔で去っていくカナ。

「…………」

固まるロー。

「っぷ。お疲れ!」

見ていたエースが近付き、笑いを堪えてローの肩をぽんと叩く。

「っぷ。残念だったな」

やはり見ていたキッドも笑いを堪えながらエースとは反対側の肩を叩いた。

協定には、「口説く時間は1日。他の日は他の奴の邪魔はしない」だ。

「チッ!!」

大きく舌打ちをすると、ローは近くの机を蹴り倒した。

「時間かけすぎたか?」

エースがあははと笑いながら言う。

「1週間くらいかけたら上手く行きそうだったな!」

キッドも大口を開けて笑う。

「テメェら、いっぺん死ぬか?」

ローは不機嫌な顔を隠さずに2人を殴り倒した。





ロー、失敗。

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