七夕はあなたと2
○○とカミューは並びながら歩き、そうそうに準備が整っていくアシタノ城を見て楽しんでいた。
「お祭りって何でこんなにドキドキするのかしら?」
○○はにこにこと笑った。
「ええ、そうですね」
カミューもにこりと笑った。
「カミューさんもお祭り好きですか?」
○○はカミューを見上げた。
「ええ、と、言いますか。私は○○さんの嬉しそうな顔を見るのが好きですよ」
カミューは当たり前の様に声を出す。
「っ!!!そ、そうですか?」
○○は照れ臭そうに手で自分の顔をぺたぺたと触る。
「ふふ、相変わらず可愛らしい方ですね」
カミューは○○の手に唇を付けた。
「そ、そんな事はないですよ?」
○○は顔を真っ赤に笑った。
「ありますよ」
カミューは真剣な顔をして、熱を帯びた目で言った。
「っ!い、行きましょう!カミューさん!お祭りの準備手伝いましょう!」
○○は困りきった顔でカミューの手を引く。
「仕方のない方ですね」
カミューはそう言うといつもの笑顔に戻る。
ホッと胸を撫で下ろした瞬間にカミューは○○に口付ける。
○○に力が入るのが分かり、カミューは苦笑してすぐに離れる。
「では、続きは夜に」
カミューはにこりと笑みを浮かべる。
「っーーーー」
○○は顔を真っ赤にしたまま何も言えずに口をもごもごと動かす。
日が西に傾き、沈み、徐々に暗くなってきた。
約束の石盤がある大きな吹き抜けは今、大きな笹が飾られている。
そこには思い思いの飾りや短冊が結ばれていた。
「『早くヒックスが成人の儀式が終わりますように』テンガアールちゃんのだね」
○○はそう短冊を読んだ。
「『フリックさんと結婚出来ますように!』」
「ニナちゃん?」
「いえ、違う女性ですね」
「さすがフリックさん!」
カミューの言葉に○○は嬉しそうに笑った。
「あ……『カミューさんの恋人になりたい』……」
○○は困った様に声を出す。
「すみませんが、その願い事は叶いませんね」
カミューはきっぱりと声を出した。
「読むのは止めましょう。願い事はやはり自分達で考えましょう」
カミューはにこりと笑った。
「……そうします」
○○は困った顔をしたまま白紙の短冊を手に取った。
「何にしますか?」
カミューはペンを手に取る。
「うー……それに迷うんですよね」
○○は難しそうに短冊を見詰める。
「カミューさんは浮かびました?」
○○はカミューを見上げる。
「そうですね……」
カミューも悩みながら声を出す。
しかし、どこか楽しそうでもある。
「私はもう決まっていますよ」
カミューはにこりと笑った。
「え?そうなんですか?」
○○は驚きながら顔をあげる。
「ええ」
カミューはしかし、それ以上は話す気はないのか、黙った。
「……ほ、本当は私も決まってるんですよ?」
○○もそう言うとカミューを見上げた。
「では、それを書いて行きましょうか。来年も七夕はありますし」
カミューはクスクスと笑いながら言った。
「そうですね!じゃあ、書きます!!」
○○はそう言うとペンを持ったが、止まる。
「?どうしました?」
カミューは不思議そうに○○を見る。
「……み、見ないでください」
○○は恥ずかしそうに短冊を隠した。
「わかりました」
カミューはクスリと笑うと自分も短冊に願い事を書き始めた。
「書けましたか?」
カミューがスラスラと書き上げると○○を向き直る。
「は、はい!もう飾りました!」
○○はにっこりと笑った。
「では、私も」
カミューは長身を利用して高い所に短冊をくくりつけた。
「……ずいぶん高い所に……」
○○はカミューの短冊を、見ようとしたが見えなかった。
「ええ。高い方が星に見えるかと思いまして」
カミューはにっこりと笑った。
「そうですね!私もそうすれば良かったです」
○○は恥ずかしそうに笑った。
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