素敵なランチを貴女と
今日の天気はまるで○○の心を写し出したかの様な爽やかな晴天。
「確かこっちにお店があったはずです」
そして横には憧れのカミューがいる。
そんな状況を○○は夢の様だと思っていた。
「あ!カミューさん!あそこのお店可愛いですね」
「では入ってみましょう」
「はい!」
2人は並んで店に入る。
そこは女の子受けするような雑貨や食器、可愛らしい食材などが置いてある店だった。
「そろそろ紅茶がなくなるんですよね」
○○はさっそく紅茶やコーヒーが並ぶ棚に目をやった。
「あ!これ苺の香りって書いてあります」
「こちらはキャラメルですね。フレーバーティーも充実してますね」
カミューは感心した様に紅茶や入った小瓶を眺める。
「カミューさん、お薦めってありますか?」
「そうですね……。アッサムも好きですが、意外にフレーバーティーも好きですね」
はいと、フレーバーティーの小瓶を○○に渡す。
「お花が入ってますね!」
瓶の隙間から眺めながら○○は言う。
「じゃあ、これ買ってみます。後苺も……それとココアも」
○○は楽しそうに小瓶を買い物かごに入れていく。
「おや、このカップなかなか触り心地が良いですね」
カミューは隣の棚に置いてあるカップを手に取った。
「あ、本当に。しかも形も可愛い……」
○○は迷いながらそのカップもひとつかごに入れた。
「普段買い物なんてこれないですから、楽しくてついつい沢山買っちゃいます」
○○は照れ笑いをしながら商品を見ていた。
「そうですね」
カミューは○○の行動を楽しそうに見ていた。
「よしっと、いっぱいになっちゃいました。買って来ますね!」
○○は嬉しそうにレジに向かった。
「後、これはプレゼント用に」
「はい、かしこまりました」
店員がラッピングを始めるとカミューが後ろからやって来た。
「プレゼントですか?」
「はい!大切な人への贈り物なんです」
カミューの質問に照れながら○○は答えた。
「お会計は762ポッチです」
店員の声に反応してカミューが財布を取り出すが
「ダメですよ!これは私のお買い物です」
と嬉しそうにカミューを止めた。
「良い物が買えましたね」
一通りの店を見て回ったカミューが ○○を見る。
「はい!楽しいです!あ、そろそろ行きますか?結構時間たっぷり使いましたね」
「えぇ」
「えっと……あのお店ですね」
券を取り出して確認すると2人は店へと入って行った。
「いらっしゃいませ」
可愛い格好をした店員が出迎えた。
「あの、これがあるのですが」
○○が券を見せると店員はにこりと笑った。
「はい、かしこまりました。こちらへどうぞ」
2人はテラス席へと案内された。
「お料理には飲み物が付きます。こちらからお選びください」
メニューに目を受け取り見る。
「えっと、私はりんごジュースを」
「では、アイスティー」
「アイスティーはストレート、ミルク、レモンがございます」
「ストレートで」
「かしこまりました。お待ちください」
ペコリと頭を下げ、店員は下がって行った。
「可愛いお店ですね」
○○は少々緊張していた。
何故かと言うと、テラス席は湖が見えるように、斜めではあるが、隣り合って座る席なので、カミューとの間が近いせいだ。
「えぇ。なかなか雰囲気があって良いですね」
カミューもにこりと笑った。
「お待たせいたしました。りんごジュースとアイスティーでございます」
2人の前にそれぞれ飲み物が置かれる。
「いただきます」
○○は買い物で歩き疲れた、そして緊張で乾いた喉をりんごジュースで潤した。
「美味しいです」
「えぇ。本当ですね」
「ねえねえ!あそこの人メチャクチャカッコイイんだけど!」
「どれ?あ!本当!」
「良いなぁ!」
そんな声が○○の耳に聞こえて来た。
チラリとカミューを見るが、もちろん気にした様子はない。
(やっぱりカミューさんって誰が見てもカッコイイよね。その隣にいられるのも今日が最後かも知れないし!今日は楽しまなきゃ!)
○○はそう決心した。
「お待たせいたしました。シェフのお任せコースでございます」
料理が運ばれてきた。基本はワンプレートの様だ。
カミューのプレートには丸い大きなパンの中にビーフシチューが入っている。そしてお洒落に盛り付けられたサラダ。
○○のプレートにはホワイトシチューとパン、サラダが盛り付けられていた。
2つのプレートともに美味しそうな見た目と香りがした。
「美味しそう!いただきます!」
○○はスプーンで一口ホワイトシチューを口に入れる。
「うーん!美味しい!」
○○は本当に嬉しそうに笑った。
「では、私も」
カミューは○○を見てから食べ始めた。
「これはなかなか!」
カミューも満足そうに頷いた。
「美味しいですね!美味しい物を食べられるのって幸せですよね」
「えぇ。私もそう思います」
○○の言葉にカミューは本心で頷いた。
「この料理も美味しいですが、前にいれていただいた○○さんの紅茶も美味しかったですよ」
にこりとカミューは○○を見た。
「あ、あの程度で良ければいつでもいれますよ!」
○○は照れながらもそう返す。
「そうですか?では、お願いします」
「ま、任せてください!」
○○は嬉しそうに頷いた。
「このパンも美味しいですね」
カミューはナイフとフォークを器用に使い、パンシチューを食べ進める。
「このシチューによく合いますね」
○○はパンシチューではないので、手でパンをちぎりながら食べる。
食事が美味しいと話も弾み、いつしか緊張も和らいでした。
○○はカミューとの食事を心の底から楽しんでいた。
「お済みのお皿を下げさせていただきます」
てきぱきと店員は皿を片付ける。
「こちらが本日のデザートとコーヒーでございます」
生クリームがたっぷり乗った苺のショートケーキとコーヒーが運ばれてきた。
「わぁ!私、苺のショートケーキが一番好きなんです」
○○は嬉しそうに笑った。
「それは良かった」
カミューもにこりと笑う。
「あぁ、沢山食べちゃいましたね!エミリアさんにもお礼しなくちゃ」
「そうですね」
コーヒーをブラックのままカミューは口にした。
「ここのケーキテイクアウト出来るみたいですね。持って帰ろうかな?」
○○は店の中のショーケースを遠目に見た。
「それは……帰りは歩きですからね」
「あ、そうですね」
○○は失念していたが、帰りはここクスクスから歩きで帰らなくてはならず、崩れやすいケーキは適切ではない。
「おや、焼き菓子なら大丈夫かもしれませんよ?」
カミューはショーケースの上にあるクッキーやマドレーヌに気が付いた。
「はい!そうします!」
カミューの提案に嬉しそうに頷いた。
「はぁ、お腹もいっぱいで幸せです!」
店から出た○○は満足そうに呟いた。
「○○さん、ありがとうございました」
「いえ!こちらこそ!お忙しいのに」
○○は慌ててカミューを振り返った。
「無理までして時間開けてもらって。かえって申し訳なかったです」
「いえ、誘っていただけたのは本当に嬉しかったですよ」
カミューはにこりと笑った。
「さて、日が暮れる前に行きましょうか」
カミューは○○を見た。
「あの、もう少しだけ……良いですか?」
○○は勇気を絞り出した。
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