Where is a hero? | ナノ


佐々木視点



広瀬は私が逆ハー補正主だって気づいてたから、すごくたじろいでいた。あんなに息苦しい昼食を過ごすのなら、ファンの誘いを受けた方がマシ。けれど我慢よ、待つのは慣れてるし演技だって完璧なんだから焦ることはない。

放課後、誰の誘いに応じることもなく私は帰路についた。まだ早い、行動に移すにはまだ早い。暗示のように何度も自分に言い聞かせてベッドに座った。
誰かに好いてもらうのって、とても大変なことなのね。私はこのスキルのおかげもあって、友人関係に悩むことはひとつもない。くすりと鼻で笑いケータイを開くと、そこには新着メール768件の文字があった。
馬鹿じゃないの?こんな大勢に返せるわけないでしょ!まじふざけんなよと苛立ちながら一つ一つチェックする。合宿があまりに大変なせいか、テニプリの彼らからは何の連絡もない。しかしどうでもいいモブ生徒からはこんなにも送られてくるのだ。ていうか永沢まじ最近うっとうしい…!部活の合間にすんなよ。下心見え見えだっての。テニス部レギュラーがミーハー女を毛嫌いするのも今なら頷ける。愛される相手が多すぎるのも問題ね……でも、我慢よ私。ファンクラブは確かにうっとうしいし目障り。けれど、使い勝手がいいのは事実。ファンクラブを使えばプラスにでもマイナスにでも傾けることができる。だから、広瀬や他の平凡主(一人とは限らないものね)、私の邪魔をするやつは皆ファンクラブを通して精神崩壊させてやればいい。そこら辺の逆ハー狙いは怒り狂って邪魔者を殺そうとする話が多かった。少なくとも私が見てきた話は大抵そうだったわ。崖から突き落としたりナイフもって突進したり。でも一貫して言えるのは皆、誰かキャラに見つかったりしてバッドエンドになることね。これに関しては同情もできない。冷静に対応できない、稚拙な言動が足元掬ったんだから、それは間違いなく逆ハー狙いが馬鹿なだけ。

でも私は違う。あんな馬鹿共と一緒にしないで。私は存在まで消す気はない。そんな警察を巻き込むような行動はとてもとれないわ。精神だけでも今のファンクラブを使えば余裕で広瀬なんて潰せる!だって彼女の一番の親友は、私のファンクラブの会長と幹部だもの。夢小説では未曾有の領域にあった逆ハー狙いの勝利、それを実現するの。全ては、テニプリの人達に愛されるために。全ては、テニプリの誰かと甘くて幸せな人生を歩むために。


ヒーローなんて、私が駆逐してやるんだから。

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