Where is a hero? | ナノ


週末は光陰矢の如く過ぎ去り、また月曜日がやってきた。気だるさを抑制して学校に登校すると、珍しいことに友人がもう来ていることに気づいた。朝は遅刻ぎりぎりに毎回現れる友人二人が、揃って30分前には教室にいるのだから稀有なことこのうえない。



「あっ!まことおはよ!」

「おはよう。来るの早いね、どうしたの?」

「佐々木さんに会える絶好の機会だと思ったんだー!」

「今日は男テニがいないからね。本当、清々しいわ」



佐々木のために、登校してきたの?私が早くに登校しても便乗しなかった友人が?なんで私よりも佐々木の方が、大きな存在になってるの?私と友人はそんな軽い付き合いじゃない。幼稚園の頃から何をするのもこの三人だった。幼稚園では土を湿らせて泥団子を作ってどれが綺麗か競いあった。小学生では放課後近所の小さい公園でブランコ対決なんかした。中学校ではファーストフード店に入ってコイバナで盛り上がった。隣にいて笑いあう。そんな当たり前の関係が、今では廃れてしまった。性格は違えど堅い絆で結ばれていたはずなのにだ。佐々木のまじないの前では脆くも崩れてしまった。佐々木にとって私たちが10年以上培ってきた絆は、豆腐を箸で二つに割るくらい脆弱なものだったのだろうか。



「佐々木さんに挨拶してくるー…けどまことはどうする?」

「……ここにいる」

「そう?じゃあ行ってくるから」

「うん!じゃーねーまこと!」

「…………」



怖い。共に長い時間を過ごした友人が、一気に他人へと降格してしまうかもしれない。親友だと思っていたしこの絆は一生涯続いたらなんて考えていたからこそ、急に他人に変わってしまうのが怖い。10年以上をかけてゆっくり築いた友情は、1ヶ月前に転校してきた佐々木さんへの愛情に劣るのだ。

幸村君からは一時の話せる相手として、友人とは他人に降格する瀬戸際で私は認識されている。あれ、私はどこに懐を置けばいいんだろう。どちらも、いずれは他人になってしまう?なら私は、これから誰と一緒にいればいいんだろう。近い将来私の行き場は、なくなってしまう。孤独になってしまう。


友人はショートホームルームぎりぎりに帰ってきた。私は幸村君になんで初恋なんかしちゃったんだろう。私にとって大きな存在は、全て佐々木にとられてしまうというのに。引きずっても現状に変化は訪れない。分かってるけど、私にとって幸村君と友人の損失は、あまりに大きすぎた。私は胃の痛みに耐えられず1時間目の授業の途中、保健室へ行った。

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