Where is a hero? | ナノ


土曜日、朝起きたのは9時半だった。大体いつもは8時前後に起きるのに、今日はやけに目覚めが遅く最悪だった。気味の悪い夢を見た。背中がざわつくような。もう内容まで覚えてないけれど。

今日は昼からお母さんの友人が来るらしい。ラングドシャを共同で作るそうだ。キッチンとリビングの整理を午前中手伝い、ダイソンの掃除機をかけた。

午後1時。約束時間通りに現れた女性は、女の子を連れていた。藍色の綺麗なウェーブを描いた髪、高く形の整った鼻、二重のぱっちりとした双眸。面影もあるし妻子だろう。二人とも、私とはうってかわって先天性の美人だ。

キッチンまで案内すると、私の役目は終わりだ。リビングのソファに座り、有意義に小説を読んでいた。しかし、女の子も同じリビングで待つらしい。一人で俯いて手相の皺を数えている。このまま見なかったことにして小説を読む動作に戻るのは少々気が重い。小説を閉じてテーブルの上に置き、WIIを起動させた。ディスクにマリオパーティーを入れてリモコンを2つ用意する。



「マリオパーティー、する?」

「…!………」



人見知りらしい。見るからに4・5歳の女の子なのに、ここまで極度の人見知りなんて他にいるだろうか。まあ幼児の人見知りは遠慮を知っている証拠。心理学的には良いことらしい。「嫌ならすぐにやめても構わないから、ちょっとだけでもやってみない?」と優しく声をかけると、女の子は小さく頷いた。

それから2時間くらいはたっただろうか。マリオパーティーをしたことがなかったんだろう。最初の方はおぼつかない手つきでリモコンを握り、おどおどしているだけだった。しかし数十分もたてばやっぱり子ども、自然と笑顔を溢すようになっていた。自分でも気づかぬうちに笑っているんだろう。私も笑って、怒って、普通にゲームをしよう。子ども相手に演技をして胡散臭さを定着させるのは好ましくない。

先述した2時間を経過すると、ラングドシャを作り終えた女性二人が戻ってきた。女の子は母親を見るなり、ママと呟いて胸にダイブ。可愛いなあとほのぼのしながら二人を見ていた。



「ちゃんとお利口さんにして待てた?」

「うん!あのお姉ちゃんが一緒にゲームしてくれたの」

「ふふ、よかったわね」



娘を見て下さって、ありがとうございます。そう大人の余裕で頭を下げる女性に「いえ、こちらこそ楽しかったです」と一言返した。

その後は4人で先程作ったラングドシャを食べながら会話を楽しんだ。

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