Where is a hero? | ナノ


本当に数学ってわからない。公式を当てはめてやっていくような問題ならここまで苦戦はしなかっただろうに。立海が偏差値の高い私立高なだけに、満点をとらせないために算数的な問題を問われることも当然ある。数学の内容の中でふと厄介な算数の問題がひょっこり顔を出すもんだから辛辣に思ってしまう。

テスト1週間前に本日から突入し、そろそろ真剣に勉強しないとなと考える。家に帰るとどうしても誘惑に勝てずテレビを見てしまうため、図書室ですることに決めた。閑静な空間に映える本の山。中に入るだけで勉強する気になれる。そう思い今日から放課後は閉館まで図書室に佇むことにした。



「相席、いいかな?」



聞き覚えのある声に顔を上げると、綺麗な微笑みが網膜に焼き付いた。幸村精市。いや、他に席があるんじゃと周囲を見渡すもほとんど空席はない状態だった。テスト前なだけに、普段より勉強に来る生徒の数も多いようだ。特に断る理由もないのであから目にどうぞと呟いた。ありがとうと微笑む彼は本当にご加護を受けた神の子どものようである。



「今日は最終までいるのかい?」

「…うん、そのつもり」

「ふふ、俺もなんだ」



そうなんだ、と相槌をうって私は紙面に目線を落とした。


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