Where is a hero? | ナノ


保護者の参観日である今日の5・6時間目。科目は数学と現代文と主流な教科なので、私の母親も迷うことなく参加の意を示した。一番後ろの席だからか、保護者からの視線が主に突き刺さっている気がしてならない。こういう時に不便な場所ではある。

息苦しい位置で集中もできずに終えた5時間目。休み時間に入ると私の母親が席まで駆け寄ってきた。口元に手を当て、私にしか聞こえないように小声で話す。


「佐々木さんって有名人か何か?」



私は驚き目を見開いてお母さんへと視線を移す。綺麗に化粧を施した顔はいつ見ても美人だ。アラフォーとは思えぬ髪の艶に肌の緻密さは、普段の努力の結晶だろう。



「ま、まあ。可愛いって人気だけど」

「あら、あの子全然可愛くないじゃない。皆がずっと可愛いって言うから、ビックリしたわ」



本当に小声でよかった。確かにそう思うがあまりに発言が直球すぎる。聞くところによると友人の母親が佐々木さんの噂を毎日娘から聞いていたらしい。共にクラスを覗きに行って、佐々木と呼ばれる女子をみて唖然としたようだ。正直お母さんまで佐々木を可愛いと賞賛しだしたら、いよいよ私の居場所がなくなるところだった。
保護者は皆佐々木が不細工だと分かっているようで、生徒の評価とのギャップに唖然としていたらしい。あれ、なんで保護者は佐々木が不細工なことを分かるんだろう。ジェネレーションギャップだと言うお母さんに、「じゃあ私はどうなるんだ」と聞きたくなった。

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