群集心理 | ナノ




太陽の柔らかな陽射しで目が覚めた。目覚まし時計がけたたましく鳴るまであと30分もある。自力でこんなにすがすがしく起きれたのは本当に久しぶりだ。

弁当作って、お茶を水筒にいれて、朝ごはんのパンを食べながらニュースを見て、歯を磨いて、顔洗って、ジャージに着替えて、髪の毛を整える。いつもよりしゃきしゃきと脳が働いているせいか、見慣れた景色が違う視点から網膜に映ったものが神経へと流れる。

つまり今朝から私は機嫌がいい、調子がいい。


「あ、佐々木さんだ、おはよう」
「ちーっす!」
「高倉君に平松君、それに先輩方も…おはようございます。どうしてここに?」
「見送りに来たんだよ!」


久しぶりに対面するテニス部メンバーだった。1年から2年まで皆集まって、暖かい笑顔で私を見ていた。2年の先輩に「戻ってこいよな〜!ドリンク作ったり洗濯回すの、全部1年がやってんだぜ!」と言われ苦笑した。


「波江、おはよう」
「あ、幸村君おはよう」
「相変わらず早いな」
「あっ…………、柳くんもおはよう」
「(今の間はなんだ…?)」


相変わらず揃って登場してきた3人組。皆私が帰ってきてほしいと口々に言うんだと柳君がさらに状況を解説してくれた。あれ、話戻った…って今来たばかりなのになんで話題を軽く把握してるの?データなの?それすらデータでわかってしまうの?


「皆波江が帰ってくるの待ってるようなんだ」
「そっか…ごめん、今はまだそのつもりはないかな」
「ふふ、残念。ならしょうがないね」


うわあ幸村君苦笑しても美しいんですね。でも部員がそう言ってるということは、私は十分彼らの役にたてたのかもしれない。そう考えると、マネージャーって本当にやりがいのある仕事なんだなとつくづく思う。また臨時くらいならしてもいいかも。

そう一人で考えているとバスが目の前に停まった。

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