群集心理 | ナノ




「すごい、これ本当に波江のノート?」

「うん。分からない子は花屋のお姉さんに聞いたの」


どうやらフラワーノート、というらしい。俺だって自家菜園してるし、テニスと同じくらい花は好きだ。この主張には自信があった。
しかし、波江の手渡されたノートには俺以上に花への愛がつめこまれていた。自宅付近の地図に花壇マークや植木マークを色ペンでつけ、別のページにはその特徴や概説、適切な育て方まで丁寧に記されている。


「すごいね、俺でも知らない花が結構多いよ」

「花屋においてある花まで紹介してるから」

「本当だ、花屋のレパートリーまである」


それに花のことを波江はまるで我が子のように優しい表情で語ってる。ああ、本当に花が好きなんだな、そう感じ取れて自然と頬が緩む。


「幸村くんの家の花もまた見に行っていいかな?」

「なら俺も、波江の育ててる自慢の花、見たいな」

「よし、また見に行こっか」


その時笑った波江の微笑みは、今まで見せたなかでも特別綺麗だった。本当に嬉しかったんだろう。実は少し胸に突っかかって、ドキドキしてしまったのは内緒だ。

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