群集心理 | ナノ




体育祭の種目を決めるらしく、1時間目のホームルームは教室内立ち歩き許可がでた。私は出なくていいもんねとなぜか少しの優越感を感じながら、先週幸村君からもらった合宿のプリントを確認してみた。
マネージャー私だけか…そっか桜乃ちゃんって確か越前リョーマと同い年だったもんね。女子一人とか辛いよ辛すぎる。人数も多いしどうにかマネージャーを増やすことはできないだろうか。人手が欲しい。


「聞いて波江ちゃん!………ってひっ!」
「?どうしたの堀さん」
「な、なんでもない(ゆゆ幸村君怖い怖すぎる!…でも私だって負けない!)」
「…………?」
「あの、き、聞いて!私50メートル走るの」
「そっか、すごいね」
「(たかが50で何言ってんのこいつ)」
「えへ、えへへ」


うわその照れ笑いすごく可愛い。堀さんはあれだ、雰囲気が可愛すぎるんだ。妹にならないかな本当。


「あのさ波江」
「ん?」
「屋上庭園のお花、どうする?誰かに頼まないと」
「……あ」


しまった。昼休みには毎日水やりに行くのに、なんでこんな重要なこと忘れてたんだ私…!委員に任せるのも癪だし、先生にでも…筧先生なら人がいいから引き受けてくれるかも…あー乱雑そうだからやめとこ。


「わっ私やる!!」
「へ、堀さんが?」
「ちゃんと雑草も抜くから私にやらせて!」
「堀さん…」


「友達の役にたちたいの!」と言い張る堀さんの好意を無下にできない。私のためを思って涙目で言われたら無理だよね。これが無自覚だからある意味脅威的だけど可愛いから許す。


「ありがとう、堀さん」
「波江ちゃん…!わ、私もありがとう!」
「え、うん(なんで?)」


堀さんの言うありがとうが何に対してかよくわからなかったがつっこむときりがないので特に触れない。それよりも、だ。ふと左斜め後ろに視線を移すと、真剣にノートにくらいつく男子生徒が一人。平松君だ。いや始業式からずっとこの調子でやたらとガリ勉になった。いや、ガリ勉か?ノートに書き込むときやたらとにやけているがガリ勉か?きっと交換ノートで中1の男子らしいちょっとエッチなことをかいてるんだろうか。まあ否定もしないしむしろ健全だとは思うけど、家でやれ。

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