太陽は容赦なく私たちを照りつける。ちゃんと日焼け止め塗っておいてよかった。なんて思いながら額の汗をタオルで拭う。
柳君が言うには相手の対戦校は氷帝らしい。そっか、と頷いたものの、確か跡部君いたよね漫画に。あと従兄弟が四天宝寺にいる忍足君に向日君と芥川君くらいかな…いや樺二君もいた!樺二君はなんか優しいゴリラって感じがして好きだなあ。なんだかんだで一番気遣い上手かもしれない。やっぱ結婚するならああいう優しい男性がいいよね…見た目中学生が言うのもなんだけど。
「幸村君」
「どうしたんだい?」
「明日、お花一緒に見ようね」
私なりの"がんばれ"である。全国大会で優勝すれば明日は休日になるから、それを考えて言ってみたわけだ。優勝できなかったら反省会という名のミーティングをするそうだけど。届いたかな、なんてそわそわしてると幸村君は満面の笑みで「ありがとう、がんばるよ」と返してくれた。
「ほう、テメーらが立海か」
「あ、はい」
「君は?」
「俺は部長の跡部。1年だ」
「い、1年で部長かよぃ」
「へー実力社会だね」
「いやつっこんで佐々木さん!」
「俺は幸村。よろしくね」
「ハッ、まあいい。勝つのは俺ら氷帝だ!せいぜいボロ負けしない程度にはがんばるんだな」
うわあ、さすが跡部財閥の跡取り。言うことが違うなあ。でも頭もいいし実際テニスも上手い。完璧の裏に隠れた努力を私は知ってるから(前世で知った)本当に尊敬する。
でも、私たち立海だって努力は怠っていない。部員全員で優勝を誓いあった。きっと今の跡部君には、まだ仲間全員からの信頼は得ていない。
「私たちは氷帝に負けない」
「アーン?」
「高倉君も、気圧されちゃダメだよ。三連覇するって言ったじゃん」
「そ、そうだよね。幸村君達もがんばったもんね」
「そうだぜ!優勝は俺ら立海!」
「愚問だな。勝つに決まっている」
「つかむしろお前らがボロ負けにならないよう頑張ったほうがいんじゃね?」
「ブンちゃんの言う通りじゃき」
「俺らが負けるなんてないよね、真田」
「無論!勝つに決まっているわ!」
「テメーら………!」
フン!と怒った跡部君は踵を返した。というか、予想以上にみんな勝ち気だった。あれ、これ私が言わなくても大丈夫な感じだったよね。アチャー恥ずかしいことをしてしまった。
なんて一人で頭を抱えていると、「そんなことはない。佐々木のあの一言のおかげで部員全体の士気が高まった。礼を言う」と柳君に言われたので逆に悪寒が走った。また心境読まれてたのか。