ハヤシライスセットの調理実習レポートと、注意事項が書かれた紙を見て考える。役割分担についてだ。
「俺こう見えても結構料理できるんだぜ?」
「本当?高倉君」
「嘘だよ」
「嘘じゃねえから!ペヤング作れるから!」
「ペヤングはインスタントだから料理には分類されないよ」
「よくぞ言った高倉君」
にしてもまさか調理実習の定番であるカレーを押し退けてハヤシライスになるとは。お米を早炊きするところかららしいが大丈夫だろうか。フレンチサラダを平松君に頼むとして、残るは3人だ。
「波江ちゃん、私包丁触ったことないけど…お米なら炊けるよ!」
「え、本当?(触ったことないの?一度も?)」
「うん!(波江ちゃんが喜んでくれた…!)」
「包丁触ったことないのもどうかと思うな」
「そっ、そんなこと言う幸村君だって料理なんて…」
「俺だって休日なんかは自分で作るからね」
「ぐっ…!」
「ちなみに堀さん、どうやってご飯炊くか言ってみて?」
「うん!洗剤をいれて米粒を綺麗にするの!」
「えっ、柔軟剤じゃねーのかよ?!」
「平松君ブーッ!柔軟剤は洗濯液と一緒に入れるんだよ!」
「堀…お前すげーな!」
「えへ、えへへ、私すごいんだって波江ちゃん」
このメンバーで料理が作れるのか、私は大きな不安を抱いた。