群集心理 | ナノ




6時間目の授業を終え、担任の教師がプリントを配り出す。羊雲が広がる空はまだ青く、今日がまだまだ続くことを雄弁と物語っていた。


「皆っ!テスト一週間前だ!ちゃんと勉強するようにな!」


配布されたプリントにはテストの日程表が書かれていた。五日間に渡って行われる期末試験、二度目の人生とはいえ今回はちゃんと勉強しないと副科目で悲惨な目に合う気がする。英語や社会のように簡単で以前の記憶にインプットされている科目は割と余裕をもって挑めるのだけど。技術や美術のことなんてほとんど忘れてしまった。


「どどどどうしよう波江ちゃん!!!」
「えっ、なになにどうしたの堀さん」
「私今回のテストヤバイかもしれない!!!」


そういえば、堀さんの成績について私は全然知らない。しかしこうして涙目になりながら助けを求めてくるあたり、あまり良くないのかもしれない。ぎゅっと私の右腕を抱きしめながら上目遣いで私を見る堀さんは少しエロかった。


「どどどどうしよう佐々木!!!俺今回のテストヤバイかもしんない!!!」


そして悲しいほどに全く同じセリフを言いながら左の腕を掴む平松君を見るとため息がこぼれた。平松君に至ってはわざと堀さんの真似をしているのだろう。堀さん同様上目遣いで涙目になる演技力は尊敬に値する。もしかすると、結構厄介な二匹に捕まったかもしれない。


「二人とも、何やってるの…」
「お、高倉!やべーよ今回テスト範囲広くね?勉強会しようぜ」
「わっ!私の家大丈夫だよ!お、大きいから!」
「さっすが堀!来週の土日にでもやんね?」
「いいね!」
「うん、僕も行きたい」


決定な!と平松君が無邪気に笑って言った。私、堀さん、高倉君、平松君の四人で勉強会を行うことになった。幸村君は誘わないのか聞くと、怖いからダメだと二人から猛反対をくらった。どうやら二人はあまりに勉強ができないらしく(本人談)、そのことが幸村にバレればバカにされるのが気に食わないらしい。二人の話を聞きながら、こりゃ私は勉強できないだろうなと思い苦笑した。

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